誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

DORV(両大血管右室起始症) その7 Posterior TGAやfalse Taussig-Bingについて(いわゆるsubpulmonary type DORV) その3  Nikaidoh手術について  〜疾患43

前回お話ししたHalf-truned truncal switch手術については概ね理解できましたか?今回はHalf-truned truncal switch手術と同様にDORVのsubpulmonaryVSDに肺動脈狭窄を合併した状態で行われる手術、Nikaidoh手術についてお話しをしていきたいと思います。Half…

DORV(両大血管右室起始症) その6 Posterior TGAやfalse Taussig-Bingについて(いわゆるsubpulmonary type DORV) その2  Half-turned truncal switch手術について  〜疾患42

だいぶご無沙汰していて申し訳ありません。記事を更新していないにも関わらず、ブログを覗いてくれていた人が沢山おり、とても感謝しています。現在記事に書いている内容が難しいのと、ライフスタイルの変化や個人的に難しい時期を過ごしていた事などあり、…

不整脈:抗不整脈薬について めちゃくちゃ簡単に解説 基本49〜

かなり久しぶりです。DORVの話をしていましたが、なかなか進まなくてすみません。また必ず続きも記載しますので、今回はちょっと簡単な話をさせてください。前、不整脈の勉強会(なぜか不整脈の勉強会をよく頼まれます)をしたのですが、そこで少し話をした内…

DORV(両大血管右室起始症) その6 Posterior TGAやfalse Taussig-Bingについて(いわゆるsubpulmonary type DORV) その1  〜疾患41

前回の最後に「次回はOriginal Taussig-Bingについて話をしていきます」と話しましたが、Posterior TGAやfalse Taussig-Bingを先に話したほうが理解しやすいのでは?と思いまして、今回はこの2つから話をしていこうかと思います。この2つは大動脈と肺動脈…

DORV(両大血管右室起始症) その5 {S.D.N}DORV Fallot type、primary IVFとsecondary IVFについて  〜疾患40

前回は{S.D.N}DORVのVSD typeについて話をしました。主な経過として、まず生後1ヶ月前後で肺動脈絞扼術を施行し、生後半年から1年で心内修復術を施行する、という流れでした。前回強調したかったのは、DORVの話の中でもいつも注意しておかないといけない、左…

DORV(両大血管右室起始症) その4 {S.D.N}DORV VSD type、左室流出路狭窄(LVOTO)について  〜疾患39

DORVのこの前の分類は理解できましたか?あの記事(2021/4/15のDORVの分類 疾患37の記事)を書いて疲れてしまい、しばらくサボっていました。申し訳ありません。しかし、壮大なDORVについてはまだまだはじまったばかりなので、ここで休んでいるわけにはいきま…

DORV(両大血管右室起始症) その3 Taussig-Bingについて  〜疾患38

Taussig Bingについて Taussig-Bing Heaertについてはかなりわかりにくいですよね。僕もよくわかりません。じゃ書くなよ、って感じですが、一応わかる範囲で話をします。マニアックなのでよっぽど興味がある人だけこの記事は見ましょう。実はTaussig-Bing He…

両大血管右室起始症(DORV)について その2 DORVの分類  〜疾患37

前回からいよいよDORVをはじめてしまいました。前回から1ヶ月くらい開いてしまいましたが、この記事を書くのにだいぶ苦労しました。正直看護師さん向けと言うにはかなり難しい内容なのです。小児循環器を目指す医師向け(研修医とか専攻医とか?)に近いか…

両大血管右室起始症(DORV)について その1  定義や成り立ちなど  〜疾患36

今回からついに両大血管右室起始症(Double Outlet Right Ventricle : DORV)について話をしようと思います。DORVを知っている人はわかるでしょうが、DORVはあまりにも多岐にわたるため、一番説明しにくい疾患です。「TOFみたいなやつもいるし、TGAみたいに大…

高肺血流high flow(ハイフロー)と酸素投与について  どういう子には酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か? その2 ~基本50~

前回はSpO2:100%の時のhigh flowについて話をしていきましたが、どうでしょうか?ブログの初期に話している事とかぶりますが、復習と考えてもらえたら、と思います。今回は前回の続きで、SpO2:100%でない時のhigh flowについて話をしていきたいと思います…

高肺血流high flow(ハイフロー)と酸素投与について  どういう子には酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か?  ~基本49~

今回は講義した内容をあげようと思います。若い先生たちからのリクエストで、「どういう子に酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か救急とかでの対応を知りたい」みたいな議題を与えられたので、作ったスライドをもとに書いていきます。以前にも書いているh…

不整脈:異常自動能(abnormal automaticity) EAT(異所性心房頻拍)、MAT(多源性心房頻拍)、JET(接合部異所性心房頻拍)について 上室性頻脈(SVT)全般の治療   〜基本48〜

今回からはSVTのもう一つの機序、「異常自動能」について話をしていきます。異常自動能はリエントリーとは違ってだいぶわかりやすいです。特徴もリエントリーとは全く違うので、リエントリーとの違いを意識しつつ、頭にいれていくといいかと思います。不整脈…

不整脈:上室性頻脈(SVT) IART(心房内回帰性頻拍)、AFL(心房頻拍)について  〜基本47〜

長々とおやすみしていてすみません。久しぶりに不整脈の話の続きをしようと思います。 前回まではAVRTとAVNRTの話をしました。今回はリエントリー性のSVTの最後、IART(心房内回帰性頻拍)の話をしていきたいな、と思います。実際、先天性心疾患を扱っている…

不整脈:上室性頻脈(SVT) AVNRT(房室結節回帰性頻拍)について  〜基本46〜

今回はAVRTの次に多い、と言われるAVNRTについて説明します。と言っても僕もこれを語れるほどよくわかってはいないので、かなり説明が足りないかもしれませんが、ご了承ください。という事でとりあえず、AVNRTやっていきましょう。まずAVNRTもAVRTと同様リエ…

不整脈:上室性頻脈(SVT) AVRT(房室回帰性頻拍)について  〜基本45〜

今回はAVRTについて話をしていきます。前回でリエントリーの事はわかってもらえましたか?とにかく、どこかの周りをグルグル回る不整脈、これがリエントリーです。なので、頻脈中の心拍数は一定だし、突然始まったり終わったりするし、DCとかが効くのが特徴…

不整脈:上室性頻脈(SVT) リエントリーについて  〜基本44〜

今回は上室性頻脈の中でもリエントリー性のSVTについて話をしていきます。前回は上室性頻脈にはリエントリーと異常自動能(とトリガードアクティビティ)があるという話をしました。トリガードアクティビティは無視でよく、リエントリーと異常自動能をしっか…

不整脈:上室性頻脈(SVT) 総論について  〜基本43〜

今回から上室性頻脈にいきたいと思います。上室性頻脈は心室より上、つまり心房や房室結節で起こる不整脈の事を指しています。みなさんが、ATとかJETとかAFLとか言っているのは全部上室性頻脈(SVT)です。ここが不整脈でもかなり大事なところなのですが、苦手…

不整脈:心室性期外収縮(PVC)について  〜基本42〜

前回はPACをしたので、今回はその親戚みたいなPVC(心室期外収縮:premature ventricular contraction)について話をしていきます。PVCは最もよく見る不整脈の一つです。健診とかでも結構引っかかってくる不整脈ですね。PVCは普段の脈と関係ないタイミングで心…

不整脈:心房性期外収縮(PAC)について  〜基本41〜

今回は心房性期外収縮について話をしていきますね。PAC(premature atrial contraction)とよくみなさんが言っているやつの事です。前回の不整脈の表を見ると、PACは上室性不整脈にあたります。上室性不整脈っていうのは、心室より上(大雑把に言うと心房)か…

不整脈:不応期について 上室性頻脈(SVT)の前に 〜基本40〜

今回からまた不整脈に戻っていきます。今回からは下の図の不整脈の真ん中に当たる、上室性不整脈について話をしていきます。この話をする前に前提の知識としていくつか押さえておいてほしい話があります。それは ・刺激伝導系について ・wide QRSとnarrow QR…

不整脈(心不全):ペースメーカー CRT(心臓再同期療法)について 〜基本39〜

前回不整脈やると話していましたが、ペースメーカーでもかなり重要なCRTを忘れていました。CRTはちょっと出てきていますが、ちゃんと説明していないので、説明しようと思います。CRTは心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy)の略で、ペースメー…

雑記 小児循環器医を目指そうかな、と思った小児科の先生方へ

このブログ、一応看護師さん向けに作っているつもりですが、かなり内容が難しいものもあったり、医師向けの内容も含まれています。小児科の後期研修医などの方も見てくれているようなので、そんな方に向けて今回は書いていこうと思います。 小児科っていうの…

不整脈:ペースメーカーについて その6;閾値や感度、Auto captureやMVPモードについて 〜基本38〜

大変人気のないペースメーカーのお話ですが、今回でやっと終わります。今までAAI、VVI、DDDについて説明してきました。心機能にちょっと重きを置いて話したので、あまり知りたいところが出てこない人もいたかもしれませんが、今回はペースメーカーの記録を見…

不整脈:ペースメーカーについて その5;DDDについて 〜基本37〜

今回はペースメーカーのモード、DDDについて話をします。DDDはVVIと同じく房室ブロック(AVB)の時に使用するモードです。でも洞不全症候群(SSS)でも、房室ブロック(AVB)でも何でも対応できるのがDDDのモードです。つまりすべての徐脈に対応可能なオールマイテ…

総肺静脈還流異常(TAPVC, TAPVR)について 疾患33

記事の順番が変になって申し訳ありません。前の記事を編集して消してしまったので、再度アップします。2019年12月12日にあげた記事です。 記事を出すのが遅くなり申し訳ありません。今回からまた新しい疾患をしていきたいと思います。今回は理解しやすい、総…

不整脈:ペースメーカーの本について+カテゴリー作りました! その4 〜基本36〜

カテゴリー(目次)ができました! 以前から「目次をトップページに作りたい」と常々思っていましたが、はてなブログを熟知しておらず、パソコンも詳しくないためトップページにいい感じの目次を作れずにいました。今まで、VSDを調べたくても、いつの記事かす…

不整脈:ペースメーカーについて その3;VVIについて、V leadの植え込みの位置について 〜基本35〜

前回はAAIとRate response機能について説明しました。AAIにはいくつかポイントがありました。AAIっていうのは心房にLeadが入っている状態で使えるモードです。心房をペーシングし、心房の脈を感知して、自己の脈がでていたらペーシングを抑制(inhibit)する機…

不整脈:ペースメーカーについて その2 ;AAIとrate response(レートレスポンス)機能について 〜基本34〜

まだ前回はペースメーカーの話をしませんでしたが、今回から具体的にペースメーカーの話をします。前回はまずその前提となる事柄を少し話しました。適切な心拍数の話、A kickと心房と心室のタイミング、AV delayの話、wide QRSとnarrow QRSの話をしました。…

不整脈:ペースメーカーについて その1 ペースメーカーを勉強する前に;心拍数と心房キックとQRS幅について 〜基本33〜

だいぶサボっていてすみません。約1ヶ月ぶりの記事となり、申し訳ないと思いつつもなかなか筆が進まずにいました。これまでSSS(洞不全症候群)と房室ブロック(AVB)についてやってきました。どちらも徐脈になる疾患なので、基本的には根本的な治療はペースメー…

不整脈:房室ブロック(AVB)について その2:Ⅰ、Ⅱ度房室ブロックと高度房室ブロック 〜基本32〜

前回はCAVBについて説明しました。今回はその続きです。今回の内容は小児に特化したところでもないので、大人の循環器の本を読んだ方がいいかもしれませんが、せっかく作ったのでちょろっと見ていってください。あまり重要ではないと思うので、適当に読んで…