誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

不整脈:上室性頻脈(SVT) AVRT(房室回帰性頻拍)について  〜基本45〜

今回はAVRTについて話をしていきます。前回でリエントリーの事はわかってもらえましたか?とにかく、どこかの周りをグルグル回る不整脈、これがリエントリーです。なので、頻脈中の心拍数は一定だし、突然始まったり終わったりするし、DCとかが効くのが特徴…

不整脈:上室性頻脈(SVT) リエントリーについて  〜基本44〜

今回は上室性頻脈の中でもリエントリー性のSVTについて話をしていきます。前回は上室性頻脈にはリエントリーと異常自動能(とトリガードアクティビティ)があるという話をしました。トリガードアクティビティは無視でよく、リエントリーと異常自動能をしっか…

不整脈:上室性頻脈(SVT) 総論について  〜基本43〜

今回から上室性頻脈にいきたいと思います。上室性頻脈は心室より上、つまり心房や房室結節で起こる不整脈の事を指しています。みなさんが、ATとかJETとかAFLとか言っているのは全部上室性頻脈(SVT)です。ここが不整脈でもかなり大事なところなのですが、苦手…

不整脈:心室性期外収縮(PVC)について  〜基本42〜

前回はPACをしたので、今回はその親戚みたいなPVC(心室期外収縮:premature ventricular contraction)について話をしていきます。PVCは最もよく見る不整脈の一つです。健診とかでも結構引っかかってくる不整脈ですね。PVCは普段の脈と関係ないタイミングで心…

不整脈:心房性期外収縮(PAC)について  〜基本41〜

今回は心房性期外収縮について話をしていきますね。PAC(premature atrial contraction)とよくみなさんが言っているやつの事です。前回の不整脈の表を見ると、PACは上室性不整脈にあたります。上室性不整脈っていうのは、心室より上(大雑把に言うと心房)か…

不整脈:不応期について 上室性頻脈(SVT)の前に 〜基本40〜

今回からまた不整脈に戻っていきます。今回からは下の図の不整脈の真ん中に当たる、上室性不整脈について話をしていきます。この話をする前に前提の知識としていくつか押さえておいてほしい話があります。それは ・刺激伝導系について ・wide QRSとnarrow QR…

不整脈(心不全):ペースメーカー CRT(心臓再同期療法)について 〜基本39〜

前回不整脈やると話していましたが、ペースメーカーでもかなり重要なCRTを忘れていました。CRTはちょっと出てきていますが、ちゃんと説明していないので、説明しようと思います。CRTは心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy)の略で、ペースメー…

雑記 小児循環器医を目指そうかな、と思った小児科の先生方へ

このブログ、一応看護師さん向けに作っているつもりですが、かなり内容が難しいものもあったり、医師向けの内容も含まれています。小児科の後期研修医などの方も見てくれているようなので、そんな方に向けて今回は書いていこうと思います。 小児科っていうの…

不整脈:ペースメーカーについて その6;閾値や感度、Auto captureやMVPモードについて 〜基本38〜

大変人気のないペースメーカーのお話ですが、今回でやっと終わります。今までAAI、VVI、DDDについて説明してきました。心機能にちょっと重きを置いて話したので、あまり知りたいところが出てこない人もいたかもしれませんが、今回はペースメーカーの記録を見…

不整脈:ペースメーカーについて その5;DDDについて 〜基本37〜

今回はペースメーカーのモード、DDDについて話をします。DDDはVVIと同じく房室ブロック(AVB)の時に使用するモードです。でも洞不全症候群(SSS)でも、房室ブロック(AVB)でも何でも対応できるのがDDDのモードです。つまりすべての徐脈に対応可能なオールマイテ…

総肺静脈還流異常(TAPVC, TAPVR)について 疾患33

記事の順番が変になって申し訳ありません。前の記事を編集して消してしまったので、再度アップします。2019年12月12日にあげた記事です。 記事を出すのが遅くなり申し訳ありません。今回からまた新しい疾患をしていきたいと思います。今回は理解しやすい、総…

不整脈:ペースメーカーの本について+カテゴリー作りました! その4 〜基本36〜

カテゴリー(目次)ができました! 以前から「目次をトップページに作りたい」と常々思っていましたが、はてなブログを熟知しておらず、パソコンも詳しくないためトップページにいい感じの目次を作れずにいました。今まで、VSDを調べたくても、いつの記事かす…

不整脈:ペースメーカーについて その3;VVIについて、V leadの植え込みの位置について 〜基本35〜

前回はAAIとRate response機能について説明しました。AAIにはいくつかポイントがありました。AAIっていうのは心房にLeadが入っている状態で使えるモードです。心房をペーシングし、心房の脈を感知して、自己の脈がでていたらペーシングを抑制(inhibit)する機…

不整脈:ペースメーカーについて その2 ;AAIとrate response(レートレスポンス)機能について 〜基本34〜

まだ前回はペースメーカーの話をしませんでしたが、今回から具体的にペースメーカーの話をします。前回はまずその前提となる事柄を少し話しました。適切な心拍数の話、A kickと心房と心室のタイミング、AV delayの話、wide QRSとnarrow QRSの話をしました。…

不整脈:ペースメーカーについて その1 ペースメーカーを勉強する前に;心拍数と心房キックとQRS幅について 〜基本33〜

だいぶサボっていてすみません。約1ヶ月ぶりの記事となり、申し訳ないと思いつつもなかなか筆が進まずにいました。これまでSSS(洞不全症候群)と房室ブロック(AVB)についてやってきました。どちらも徐脈になる疾患なので、基本的には根本的な治療はペースメー…

不整脈:房室ブロック(AVB)について その2:Ⅰ、Ⅱ度房室ブロックと高度房室ブロック 〜基本32〜

前回はCAVBについて説明しました。今回はその続きです。今回の内容は小児に特化したところでもないので、大人の循環器の本を読んだ方がいいかもしれませんが、せっかく作ったのでちょろっと見ていってください。あまり重要ではないと思うので、適当に読んで…

不整脈:房室ブロック(AVB)について その1:CAVB(完全房室ブロック) 〜基本31〜

前回は洞不全症候群(SSS)について話しました。洞結節やその周辺を傷つけてなる徐脈でしたね。原因は多くは手術時のSVCの切断や心房操作などsinus node arteryや刺激伝導路を傷つける事が原因でしたね。よく起こる手術としては、FontanやGlenn手術、TAPVCやAS…

不整脈:徐脈:洞不全症候群(SSS)について 〜基本30〜

もともと不整脈の大枠について、と今回のSSSの記事は一緒に書いていましたが、ちょっと分けたほうがわかりやすいと思い、わけて書いています。前回の記事で不整脈の大体の全容を掴んでもらった方が、ここからの話もわかりやすくなります。一応、僕が勝手に不…

不整脈:不整脈の大枠ついて 〜基本29〜

不整脈ってどんなものがあるか思い浮かびますか?国家試験でも出てるし、舐めんなよって思ったかもしれませんが、ここはスワヒリ語の如く不整脈が苦手な人が来ているはずなので、不整脈の大枠から話していきます。細かい事言うと余計わからなくなりますので…

不整脈:心拍数の数え方ついて 〜基本28〜

長い間おやすみしていて申し訳ありません。なかなか不整脈の記事を書くのが難しくて難航していました。前の記事の心電図とwide QRSについての話は大丈夫でしょうか?簡単に復習すると、 ・心電図はⅡ誘導だけ見よう! ・前の心電図と比べよう。 ・刺激伝導系(…

不整脈:wide QRS、右脚ブロック(RBBB)、左脚ブロック(LBBB)について 〜基本27〜

wideQRSは1回でやるつもりでしたが、なかなか長くなってしまったので、今回はwide QRSの続きをします。wide QRSになるものとしては以下のものがありました。 ・心室性の不整脈が出た時。 ・ペースメーカーで心室をペーシングした時。 ・WPW症候群で副伝導路…

不整脈:wide QRSついて 〜基本26〜

前回で心電図について話をしました。 ・心電図はまずⅡ誘導を見て、後の誘導は前の心電図と比べる。 ・1心拍は「P波⇢QRS波⇢T波」で構成される。 ・洞結節(sinus)から心房に電気が伝わり心房が収縮:P波 ・心房の血液が心室に充満するまで房室結節でタメを作…

不整脈:心電図について 〜基本25〜

今日からはみんな大好き、不整脈について話をしていこうと思います。はじめに断っておくと、僕も不整脈は苦手です。あまり得意ではありません。なので、不整脈を専門にされている先生はこのブログを見ないようにしていただきたいな、と思います。怒られそう…

high flowは大事!今一度理解しよう  番外編1

たまーにくるコメントは返事してませんが、一応ちゃんと読んでいます。今回は下記の様な質問があり、大事な話なのでしておこうと思い書きます。質問はこんな感じでした。 「凄く初歩的な質問で申し訳ありません。看護師です。 三尖弁閉鎖でsat70くらいの子が…

小児の心臓カテーテル検査について:造影と圧を疾患と絡めて その2 ~基本24~

疾患別にカテーテル検査のポイントについて羅列しています。長いので、2つにわけて説明しています。今回は前回の続きで、PA/IVS、BDG術前、Fontan術前・術後、TOF術後やRastelli術後などをやっていきます。ということで、どんどんやっていきましょう! PA/I…

小児の心臓カテーテル検査について:造影と圧を疾患と絡めて その1 ~基本23~

造影の検査について前回は話をしました。圧の説明や造影について話をしましたが、あまりそれだけではピンと来ない事が多いのではないでしょうか?実際のところは疾患毎にポイントがあって、どこを押さえないといけないかが、違います。ある疾患では非常に重…

目次

4月と言うことで目次を作りました。このブログはただブログで、いけているトップにすることができません。どこに何の記事があるのかが、わかりにくいブログで申し訳ないな、とも思っているのですが、たまにこうやって目次を作りますので、勘弁してください。…

小児のカテーテル検査について〜造影〜 その3 基本22

以前、カテーテル検査のポイントは3つで、「圧と酸素濃度、造影、治療」、と話したかと思います。もうこれは適当に僕が作ったので、自分の病院では言わないようにしてくださいね。話す順番があるといいかな、と思って言ってるだけなので。 ということで、今…

小児のカテーテル検査について〜症例で考えよう〜 その2 基本21

前回の話は理解できましたか?かなり長い話で、計算とかいろいろあって眠くなった人も多かったのではないでしょうか?今回は症例を例に挙げてカテーテル検査の見方を説明していこうと思います。 前回の復習を簡単にしましょう。 ・まず病歴、疾患を理解する…

小児のカテーテル検査について〜圧と酸素濃度〜 その1 基本20

ずいぶん長い事更新しておらず申し訳ありませんでした。なかなか筆が進まず、長い事更新できませんでした。このブログも思ったより多くの人が見てくれていてありがたいと思っています。頑張って続けていきますね。しかし、今回の記事は果たしてわかりやすい…