誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Low flowについて考えていこう 基本8

先天性心疾患を診たときにはまず、 「肺に流れる血液の量を考えよう」という話をしました。 これまでは肺に流れる血液が多い状態について話をしてきました。 肺に流れる血液と全身に流れる血液の量が同じなのは、普通の心臓や心内修復術後の心臓です。 では…

high flow(高肺血流)の症状や治療について 基本7

high flowとは、「肺の血流が増加する事」ですね。 High flowになる疾患にはどんな疾患があるのでしょうか? 正直あまりにたくさんなので、どれ、という話はできません。 ので、その疾患毎に血液がどう流れるか考えて high flowかどうかを判断していくしかあ…

Qp/Qs(肺体血流比)を計算しよう! 基本6

Qp/Qsの計算について 教科書とかに書いてあるので、そこを読んでいただけるといいかと思いますが、 なるべくわかるように説明していきます。 Qp/Qsの式 図;Qp/Qsの式について( * 13.6は本当は1.36×10です。) 式を見ただけでうんざりした人は多いと思います…

Qp/Qs(肺体血流比)について考えよう! 基本5

Qp/Qs(肺体血流比)を覚えておこう! ここで一つ専門用語のお話をします。 肺にたくさん血液が流れる事がhigh flowだとわかったと思いますが、 どれくらいたくさん流れるか、というのを表すのがQp/Qsです。 Qp/Qsのpはpulmonary(肺)のpで、sはsystemic(体)のs…

high flow(ハイフロー、高肺血流)について。VSDやASDで更に考える。その2 基本4

今回は前回の話の続きになります。 High flowの程度は「孔の大きさ」と「圧の差」で決まる、と前回お話しました。 孔の大きさについては、まあ、当たり前の話なので、すんなり理解していただけたのではないでしょうか? 一言で前回の内容を話すなら、「VSDは…

high flow(ハイフロー、高肺血流)について。VSDやASDで更に考える 基本3

ハイフローについて話してきましたが、もう少し続きます。 「High flowには飽きたし、わかったからもういいよ!」 と思うかもしれませんが、本日は 「肺血流がどのくらい増えたか?」 を中心に考えていこうと思います。 High flowの程度を考えていこう 肺血…

ハイフロー(high flow=高肺血流)って何?心室中隔欠損症(VSD)を例に 基本2

前回、ハイフローについて説明しました。 ハイフローとはhigh flow=高肺血流を意味しており、肺に血液がたくさん流れる状態のことを言います。肺に血液がたくさん流れるとしんどくなります。 言葉だけではよくわからないと思いますので、 最もpopularな疾患…

ハイフロー(high flow:高肺血流)って何? 基本1

この回から具体的に先天性心疾患について説明していきたいと思います。 正常と比べてどうなっているのか?を意識しながら考えるとわかりやすいかと思います。 はじめに断っておきますが、専門家から見ると、違うところもあるとは思いますが、理解するため、…

心臓の絵を描いてみよう!

なぜ心臓の絵が重要なのか? ちょっと話はそれますが、心臓の絵、描けますか? 心臓の絵をスラスラっと描ける事は結構重要です。 なぜなら ① 患者さんに説明する時にわかりやすいので。 ② 心臓の構造を、より理解できるので。 このため、後輩医師を教える時…

正常の心臓の血行動態

まず正常の血行動態を知っておこう! 正常の血行動態について話していきます。 これについては、成人の心臓の教科書にもっとわかりやすいものがあるかと思いますが、必要最低限を説明していきます。 正常心臓 心臓には4つの部屋があります。 名前が4つあり…

誰でもわかる小児循環器

小児循環器とは・・・ こんにちは。 小児科の中でも循環器を専門としてしている医師です。 小児循環器では主に先天性心疾患を診ています。 先天性心疾患とは、 みんなと違った形をした心臓で生まれてくる病気の事です。 心臓に孔が開いていたり、 形が違って…