誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Fontan手術(フォンタン手術)や二心室修復の幸福度ランキング~先天性心疾患の全体像〜 その4  基本15

はじめに断っておきますが、 わかりやすい事が目的ですので、当てはまらない事も多いと思います。 ただ、このような事を小児循環器をやっている人は大体わかっていますが、それを記述している教科書などはあまりないと思います。 なので、参考程度に思っても…

Fontan手術(フォンタン手術)について大雑把に~先天性心疾患の全体像〜 その3  基本14

前回も前々回もFontan手術については触れてきているので、 だいぶわかっているとは思いますが、今回はFontan手術について説明します。 心室が1つしかないので、その心室を大動脈とつなぎ、全身に血液を流すために使用します。 肺動脈には上大静脈(SVC)と下…

単心室(Fontan(フォンタン)循環)と二心室循環について〜先天性心疾患の症例の全体像〜 その2  基本13

前回は先天性心疾患は大きくわけて、単心室と二心室があるという話をしました。 今回はその治療についてもう少し話していきます。 まず、下の図を見てください。 単心室と二心室の経過 図:単心室と二心室の治療の流れ 簡単にするとこのような流れになります…

単心室(Fontan(フォンタン)循環)と二心室循環について〜先天性心疾患の症例の全体像〜 その1 基本12

小児循環器とは一体何を診ているのか、と言われると、 先天性心疾患が主になります。 心臓の形がおかしかったり、穴が開いていたり、心室が1つしかなかったり… など色々あります。 それぞれをいちいち覚えるのは無理なので、全体像が見えるように意識して書…

動脈管(PDA)をPGE1で開存させるとhigh flowになる?コントロールの仕方とBTshunt手術について 基本11

前回はlow flow の治療についてお話しました。 肺動脈狭窄(逃げ道なしの)や肺動脈閉鎖の時は とりあえず、PDAを開けておいて、BT shuntにつなげる、という発想でいいかと思うのですが、それだけではいけないのです。 high flowで話した事を思い出してくださ…

肺血流を増やす治療について(low flowの治療) 基本10

low flowは肺血流が少ない疾患です。 肺血流が少なすぎると、酸素濃度が低下して困ります。 前回は肺血流が少ない疾患は ・肺動脈が狭い+逃げ道がある疾患 ・肺動脈が閉鎖している疾患 このような疾患があるというような話をしました。 今回はこんな疾患の…

Low flow(肺血流が減少する疾患)について考えよう 基本9

Low flowについて話す前に少し知っておかなければいけない事項があります。 それは 「動脈管(patent ductus arteriosus; PDAやDAと略します)」 についてです。 極端な事を言えば、肺につながる血管は 「肺動脈と動脈管の2つだけ」です。 なので、肺血流に…