誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

不整脈:上室性頻脈(SVT) AVNRT(房室結節回帰性頻拍)について  〜基本46〜

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今回はAVRTの次に多い、と言われるAVNRTについて説明します。と言っても僕もこれを語れるほどよくわかってはいないので、かなり説明が足りないかもしれませんが、ご了承ください。という事でとりあえず、AVNRTやっていきましょう。まずAVNRTもAVRTと同様リエントリー性のSVT(上室性頻拍)です。AVRTとの共通点はリエントリーってところだけではなく、房室結節がリエントリー回路に含まれている、ということです。ここがAVNRTでとても重要なところです。何かひとつわかって、と言われたら、AVNRTは房室結節がリエントリー回路に含まれている、ということをわかってほしいです。もうわかるかもしれませんが、房室結節がリエントリー回路に含まれている、ということは「ATPが効く」って言うことですね。なので、治療もAVRTと非常に似通ってきます。概要はそんなところです。これがわかれば大体OKなので、気楽にAVNRTを考えていきましょう。

 

AVNRTのリエントリー回路について

AVNRTのリエントリー回路についてまず話をしていきます。下の図を見ながら説明を読んでもらうとわかりやすいかもしれません。実は房室結節の中にもゆっくり電気が伝導する道(これをslow pathwayといいます。)と、電気が早く伝導する道(これをfast pathwayと言います。)があります。これがあるとリエントリーが成立する可能性が出てきます。心房で発生した電気は心房の心筋を伝わって房室結節に行きます。房室結節にたどり着くとslow pathwayを通って房室結節内を進みます。房室結節内のゆっくり電気が伝導する道を通り房室結節内部にたどり着いた電気は二通りに伝導していきます。1つは普通にHis束⇢左右の脚⇢心室心筋に伝導するルートと、もう1つはfast pathwayを通って心房の心筋に戻るルートです。slow pathwayを伝導している間に心房の心筋が不応期を脱していると、心房はslow pathway⇢fast pathwayを通って戻ってきた電気に反応できちゃいます。心房⇢slow pathway⇢fast pathway⇢心房に戻った電気がまた房室結節に行くとまたslow pathway⇢心室とfast pathway⇢心房、と伝導してしまいます。これが繰り返されると、房室結節と心房をグルグル回るリエントリー回路が成立してしまいます。これがAVNRTです。房室結節の中と一部のほんのちょっとの心房心筋の間をグルグル回るリエントリー性のSVTAVNRTです

 

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図:AVNRTのリエントリー回路

図のような感じでグルグル回る、と理解できればそれでOKです。もちろん逆向きに回ることもあり、心房⇢fast pathway⇢心室とslow pathway⇢心房の心筋⇢fast⇢slow⇢心房⇢…と回ることもあります。slow pathwayとslow pathwayを回るものもあります。しかし、AVNRTの大半は心房⇢slow⇢fast⇢心房と回るので、これを頭に入れておけばいいかな、と思います。8割はslow⇢fastと回るのでそれで認識しておきましょう。

 

AVNRTの心電図

AVNRTの心電図はAVRTとちょっと似ています。P波とQRS波は1:1で認められ、P波はQRS波に重なるか、ちょっとだけ後ろに認められます。AVNRTでは心房⇢房室結節のslow pathway⇢心室と房室結節のslow pathway⇢心房と伝導します。房室結節のslow pathwayからHis束⇢心室と伝導するのとほぼ同時くらいにfast pathwayから心房に電気が返ってきますので、心室と心房が興奮するのがほぼ同時になるのです。それを反映して、QRS波とP波はほぼ同時に認められることになります。QRS波にかくれてP波が見えないか、QRS波のSのところにちょっとP波が乗る、みたいな感じになります。AVRTの心電図でもP波はQRS波の後ろ、具体的にはSTの山の登る途中みたいなところにP波が認められることが多いですが、AVNRTAVRTよりもさらにQRS波に近い所にP波が表れます。P波はQRS波に近すぎて、一緒になってしまい、あたかもP波がないみたいに見えたり、QRS波のSのあたりにちょこっと認められる程度になるのです。結構P波を探すのが難しいので、あたりをつけて診断するしかないのではないかとも思います。

簡単にまとめると

・P波とQRS波は1:1

・P波はAVRTよりもさらにQRS波に近い所に認める。

・QRS波に重なるか、QRS波のSの所にP波のノッチみたいなものが見える程度。

これがAVNRTのP波です。

AVRTより見つけにくいので、「救急で初診の頻拍発作か。normal heartだし、心拍数一定の頻脈で、narrow QRSだからAVRTかAVNRTの可能性が高いな。P波はSTの山のところにはなさそうだし、P波ははっきりわからないな。P波はどこにあるかわからないけど、QRS波に重なって見えないのかもな…ってことはAVNRTか?」ってな感じで考えるのが良いのではないでしょうか。

 

AVNRTの治療は?

AVNRTの治療は基本的にはAVRTと同じです。房室結節がリエントリー回路に含まれているため、ATPが効果的です。AVNRTAVRTもリエントリー回路に房室結節が含まれている」これが最も重要なことなので、これだけでも覚えておきましょう。

治療は基本的にはAVRTと一緒で、同様に根本的にはカテーテルアブレーションです。発作を一時的に止めるのもAVRTと同じで、患児の状態に余裕があれば、迷走神経反射を試したり、ATPCa拮抗薬などを試してもいいでしょう。薬剤でだめならDC1J/kg、同期)で止めてあげましょう。患児の状態に余裕がなければ、即DC1J/kg、同期)をして頻脈を止めてあげましょう。AVRTとほぼ一緒なので、ここらへんは詳しく書きませんので、AVRTの記事を下に貼っておきますので、その治療のところをみてください。

www.inishi124.com

一番重要なのは、ATPが効果的ということです。AVNRTは房室結節内のslow pathwayとfast pathwayと心房をグルグル回るので、リエントリー回路に房室結節が含まれています。そのため、ATPが効果的です。AVRTと同様に0.1mg/kg/doseを急速静注してあげて、治療してあげましょう。止まらなければ0.2, 0.3mg/kg/doseと増やして再度試してみましょう。それでも停止しなければ、DC(1J/kg、同期)で停止してあげましょう。

  • Ca拮抗薬など房室結節に効果のある薬剤でも効果があるかもしれませんが、新生児や乳幼児には禁忌なので、使用には注意しましょう。

 

まとめ

AVNRTはAVRTの次に多いSVTです。なので、この特徴も覚えておくほうがいいと思います。AVNRTは心房⇢房室結節のslow pathway⇢房室結節のfast pathwayをグルグル回るリエントリー性の頻脈です。重要なのはリエントリー回路に房室結節が含まれている、ということです。なので、治療にはATPが効果的です。心電図ではP波がQRS波に重なるか、QRS波のSのところにちょこっとノッチみたいになる程度なので、意識しないとわからないことが多いです。

実は記載しませんでしたが、AVNRTには色々あります。心房⇢fast⇢slowと逆回りや心房⇢slow⇢slow、となんか色々あるようですが、専門家ではないので説明できません。詳しく知りたい人は不整脈の専門家に聞いてください。

ということで簡単にAVNRTも説明しました。次回はフラッター(AFL)などのIARTについて話をします。