誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

先天性心疾患 基本

高肺血流high flow(ハイフロー)と酸素投与について  どういう子には酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か? その2 ~基本50~

前回はSpO2:100%の時のhigh flowについて話をしていきましたが、どうでしょうか?ブログの初期に話している事とかぶりますが、復習と考えてもらえたら、と思います。今回は前回の続きで、SpO2:100%でない時のhigh flowについて話をしていきたいと思います…

高肺血流high flow(ハイフロー)と酸素投与について  どういう子には酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か?  ~基本49~

今回は講義した内容をあげようと思います。若い先生たちからのリクエストで、「どういう子に酸素を使ってよくて、どういう子は駄目か救急とかでの対応を知りたい」みたいな議題を与えられたので、作ったスライドをもとに書いていきます。以前にも書いているh…

右心室と左心室の違いについて〜先天性心疾患における認識~ 基本16

先天性心疾患を考える上で左心室と右心室の違いは かなり大事です! すごく簡単に言うと 「左心室はパワーが強く、右心室はパワーが弱い」 これだけです。 あまり考えたくない人はこれだけ覚えていただいてもいいくらいです。 もともと右心室は肺動脈に、左…

Fontan手術(フォンタン手術)や二心室修復の幸福度ランキング~先天性心疾患の全体像〜 その4  基本15

はじめに断っておきますが、 わかりやすい事が目的ですので、当てはまらない事も多いと思います。 ただ、このような事を小児循環器をやっている人は大体わかっていますが、それを記述している教科書などはあまりないと思います。 なので、参考程度に思っても…

Fontan手術(フォンタン手術)について大雑把に~先天性心疾患の全体像〜 その3  基本14

前回も前々回もFontan手術については触れてきているので、 だいぶわかっているとは思いますが、今回はFontan手術について説明します。 心室が1つしかないので、その心室を大動脈とつなぎ、全身に血液を流すために使用します。 肺動脈には上大静脈(SVC)と下…

単心室(Fontan(フォンタン)循環)と二心室循環について〜先天性心疾患の症例の全体像〜 その2  基本13

前回は先天性心疾患は大きくわけて、単心室と二心室があるという話をしました。 今回はその治療についてもう少し話していきます。 まず、下の図を見てください。 単心室と二心室の経過 図:単心室と二心室の治療の流れ 簡単にするとこのような流れになります…

単心室(Fontan(フォンタン)循環)と二心室循環について〜先天性心疾患の症例の全体像〜 その1 基本12

小児循環器とは一体何を診ているのか、と言われると、 先天性心疾患が主になります。 心臓の形がおかしかったり、穴が開いていたり、心室が1つしかなかったり… など色々あります。 それぞれをいちいち覚えるのは無理なので、全体像が見えるように意識して書…

動脈管(PDA)をPGE1で開存させるとhigh flowになる?コントロールの仕方とBTshunt手術について 基本11

前回はlow flow の治療についてお話しました。 肺動脈狭窄(逃げ道なしの)や肺動脈閉鎖の時は とりあえず、PDAを開けておいて、BT shuntにつなげる、という発想でいいかと思うのですが、それだけではいけないのです。 high flowで話した事を思い出してくださ…

肺血流を増やす治療について(low flowの治療) 基本10

low flowは肺血流が少ない疾患です。 肺血流が少なすぎると、酸素濃度が低下して困ります。 前回は肺血流が少ない疾患は ・肺動脈が狭い+逃げ道がある疾患 ・肺動脈が閉鎖している疾患 このような疾患があるというような話をしました。 今回はこんな疾患の…

Low flow(肺血流が減少する疾患)について考えよう 基本9

Low flowについて話す前に少し知っておかなければいけない事項があります。 それは 「動脈管(patent ductus arteriosus; PDAやDAと略します)」 についてです。 極端な事を言えば、肺につながる血管は 「肺動脈と動脈管の2つだけ」です。 なので、肺血流に…

Low flowについて考えていこう 基本8

先天性心疾患を診たときにはまず、 「肺に流れる血液の量を考えよう」という話をしました。 これまでは肺に流れる血液が多い状態について話をしてきました。 肺に流れる血液と全身に流れる血液の量が同じなのは、普通の心臓や心内修復術後の心臓です。 では…

high flow(高肺血流)の症状や治療について 基本7

high flowとは、「肺の血流が増加する事」ですね。 High flowになる疾患にはどんな疾患があるのでしょうか? 正直あまりにたくさんなので、どれ、という話はできません。 ので、その疾患毎に血液がどう流れるか考えて high flowかどうかを判断していくしかあ…

Qp/Qs(肺体血流比)を計算しよう! 基本6

Qp/Qsの計算について 教科書とかに書いてあるので、そこを読んでいただけるといいかと思いますが、 なるべくわかるように説明していきます。 Qp/Qsの式 図;Qp/Qsの式について( * 13.6は本当は1.36×10です。) 式を見ただけでうんざりした人は多いと思います…

Qp/Qs(肺体血流比)について考えよう! 基本5

Qp/Qs(肺体血流比)を覚えておこう! ここで一つ専門用語のお話をします。 肺にたくさん血液が流れる事がhigh flowだとわかったと思いますが、 どれくらいたくさん流れるか、というのを表すのがQp/Qsです。 Qp/Qsのpはpulmonary(肺)のpで、sはsystemic(体)のs…

high flow(ハイフロー、高肺血流)について。VSDやASDで更に考える。その2 基本4

今回は前回の話の続きになります。 High flowの程度は「孔の大きさ」と「圧の差」で決まる、と前回お話しました。 孔の大きさについては、まあ、当たり前の話なので、すんなり理解していただけたのではないでしょうか? 一言で前回の内容を話すなら、「VSDは…

high flow(ハイフロー、高肺血流)について。VSDやASDで更に考える 基本3

ハイフローについて話してきましたが、もう少し続きます。 「High flowには飽きたし、わかったからもういいよ!」 と思うかもしれませんが、本日は 「肺血流がどのくらい増えたか?」 を中心に考えていこうと思います。 High flowの程度を考えていこう 肺血…

ハイフロー(high flow=高肺血流)って何?心室中隔欠損症(VSD)を例に 基本2

前回、ハイフローについて説明しました。 ハイフローとはhigh flow=高肺血流を意味しており、肺に血液がたくさん流れる状態のことを言います。肺に血液がたくさん流れるとしんどくなります。 言葉だけではよくわからないと思いますので、 最もpopularな疾患…

ハイフロー(high flow:高肺血流)って何? 基本1

この回から具体的に先天性心疾患について説明していきたいと思います。 正常と比べてどうなっているのか?を意識しながら考えるとわかりやすいかと思います。 はじめに断っておきますが、専門家から見ると、違うところもあるとは思いますが、理解するため、…

心臓の絵を描いてみよう!

なぜ心臓の絵が重要なのか? ちょっと話はそれますが、心臓の絵、描けますか? 心臓の絵をスラスラっと描ける事は結構重要です。 なぜなら ① 患者さんに説明する時にわかりやすいので。 ② 心臓の構造を、より理解できるので。 このため、後輩医師を教える時…

正常の心臓の血行動態

まず正常の血行動態を知っておこう! 正常の血行動態について話していきます。 これについては、成人の心臓の教科書にもっとわかりやすいものがあるかと思いますが、必要最低限を説明していきます。 正常心臓 心臓には4つの部屋があります。 名前が4つあり…

誰でもわかる小児循環器

小児循環器とは・・・ こんにちは。 小児科の中でも循環器を専門としてしている医師です。 小児循環器では主に先天性心疾患を診ています。 先天性心疾患とは、 みんなと違った形をした心臓で生まれてくる病気の事です。 心臓に孔が開いていたり、 形が違って…