2019-01-01から1年間の記事一覧
前回からTAPVCをやっていますが、前回の内容は大丈夫でしょうか?今回はTAPVCの経過と手術についてやっていきます。 TAPVCが生まれるまで 最近の先天性心疾患はかなりの頻度で胎児エコーでわかるようになってきています。単心室などは4chをパッと見ただけで…
前回はCoA complexの治療のボーダーラインについて話しました。今までの話をまとめてみると… CoA:大動脈縮窄は単独で認める場合もあるけど、2/3と半数以上はVSDなどの複合疾患として認められます。中でもVSD+AS(or SAS)+CoAという組み合わせが多く、AS( ro…
前回はCoA complexの治療について説明しました。ポイントはASやSASの有無で治療方針が分かれる、という話でした。 ASやSASがなければ、VSD閉鎖+Arch repairでOKです。以後再手術する事はありません。 ASやSASがあれば、Yasui手術です。Yasui手術は「DKS+Ra…
前回は重要な項目でしたが、理解できましたか?CoA complex(CoAとその複合疾患:具体的にはVSD+AS ro SAS+CoA)の成り立ちは、円錐中隔(conus setpem)の後方偏位によってできていましたね。conusが後方偏位することにより心室中隔にギャップが現れVSDができ、…
前回はCoA単独について説明しました。簡単に復習するとCoAとは大動脈弓が狭窄する疾患でした。CoAのできる原因には2つあり、①大動脈に血流が少なく十分育たなかった②PDA組織が大動脈に迷入し出生後PDAの狭窄とともにCoAができた、という2つの原因が考えられ…
今回は心室中隔欠損+大動脈縮窄+大動脈弁(もしくは弁下)狭窄の複合疾患について話していこうと思います。 面倒くさいので、略語を使用していきたいと思います。心室中隔欠損(VSD)+大動脈縮窄(CoA)+大動脈弁(もしくは弁下)狭窄(ASもしくはSAS)と略し…
前回はTruncusの血行動態と出生から心内修復術までのところをざっと説明しました。その中でRastelli手術がでてきたと思いますが、この手術は重要なので、ここで一回ちゃんと取り上げようと思います。 もともとはTGAのⅢ型(AoとPAが普通の逆についていて、VSD…
前回のTruncusの成り立ちはOKですか? Truncusの形は単純です。 大動脈と肺動脈が合体していて、大動脈弁が4尖弁で逆流が多くて困ることが多く、VSDが大きく開いており、大体二心室修復できる疾患です。 でもそれではなかなか頭に入りにくいので、前回はどう…
今回は総動脈幹症について話していきます。 特になんで総動脈幹症にしたかと言うと、以前お話したTOFとちょっと繋がりがあるからです。(読んでいけばわかります。) この総動脈幹症はあまりよく見る疾患ではないかもしれません。総動脈幹症は英語では「pers…
では前回と前々回の内容を把握してない人はまずそこをマスターしてから見てください。今回はVSDが実際エコーではどう見えるか?を説明していきます。 まずエコーというのは2Dなので、一つの断面した見えません。心臓は立体的なものなので、一度に右心室全部…
前回はVSDの位置について説明しました。Muscular VSDとⅠ型VSDについて話しました。 ・弁に接していないVSDはmuscular VSD(mVSD)と呼びます。 ・mVSDは位置により以下の3つにわけます。(呼び方も記載します。) ・Outletに近いところはmuscular outlet ・in…
今回はいよいよVSDの位置について説明していきます。 前回の右室の解剖がわからない人はついていけないと思いますので、前回の記事をまず理解した上で読んでください。 VSDの位置の呼び方はいろんな「あだ名」みたいなものがあります。全国でも統一されてい…
今回新しい疾患をしようと思っていましたがVSDの講義をすることがあり、VSDの孔の位置についてスライドを作ったので、これを載せようと思います。 正直この内容はかなり難しく、看護師さんには必要でないかもしれません。知っていれば尚いいですが、小児循環…
今回はHLHCについて説明していきます。 あまり看護師さんには関係のない話かもしれませんが、こういう事で小児循環器医が悩んでいる、と言うことを知っておいたら、と思いお話します。関係ないとは言いましたが、疾患を理解する上では一段レベルが上がると思…
今回はNorwood手術について説明していきます。 前回はHLHSの血行動態について説明していきました。HLHSに限らず、単心室ではよくある血行動態なので、考え方の基本になるのではないかと思います。RVから肺動脈と全身の両方を還流している疾患になります。そ…
前回はHLHSの3つの重要なポイントを説明しました。 体心室が右室のため収縮能はイマイチで、血液が流れなかったから左心系が育たず、冠動脈の血流もしょぼい大動脈を逆行して還流するため虚血になりやすい、という話をしました。 3つ話をしましたが、2つ…
HLHSはどういう心臓か? 左心低形成症候群は知っていますか?国試とかでも出てくるような、頻度の割には有名な先天性心疾患です。血行動態はまた説明しますが、とりあえず下の図のような形をしており、左心室が小さくて使い物にならない疾患です。結構予後も…
今回はだいぶ記事も増えてきたので目次を作ろうと思います。ブログという形式を使ったのはあまりパソコンが得意ではないのと、タダで簡単に記事がかける、という思考でブログという媒体を使ってみました。でも本当は目次みたいなところから、読みたい記事を…
Mustard(マスタード)手術とかSenning(セニング)手術って知ってますか?Jatene手術がメジャーになってきたのは1980年代の後半で、それ以前、1980年代前半まではTGAに対してはMustard手術やSenning手術がメインで施行されてきました。いわゆるこども病院な…
術後に注意すべき点について Jatene手術で重要となってくるのが、術後の合併症です。 TGA特有なので、TGAの時は意識するようにしてほしいポイントです。 ① 冠動脈の狭窄・閉塞 ② 肺動脈の狭窄 ③ 大動脈弁の逆流 上記の3つが主なものです。3つも頭に入らな…
今回はTGAで最も重要だと考えられる、冠動脈について少しだけ説明します。今回も若干看護師さんにそこまで求めなくていいような内容な気がしますが、知っていて損はないですし、TGAに対する理解は深まります。 冠動脈のバリエーション〜Shaherの分類やLeiden…
すいません。だいぶ長い間書けていませんでした。とりあえず一通り疾患をやるまでは続けるつもりなので、不定期で申し訳ないですけど、続けていきますね。 前回のおさらいをすると、 TGAは「大動脈と肺動脈が逆にくっついている先天性心疾患」です。 そのた…
だいぶおやすみをしていてすみません。 体調不良により何もできませんでした。 私事で申し訳ありません。 みなさん、顎がコキコキ言っている人がいたら注意してください。 僕は顎関節症で病院をお休みしました。救急でソセゴン(痛み止めの超効くやつです。…
今回はカテーテルによる肺動脈弁置換術について話をしていきます。 これはまだ日本で導入されていません(アメリカでは認可されたので、いずれできるようになると思いますが。) なので、将来的な話という事になりますが、興味ある人は読んでいただけたらと…
前回の心内修復術は理解できたでしょうか。 心内修復術が終わるとしばらくは手術と無縁の生活になります。 TAP法で修復した人も、弁輪温存で修復した人もしばらくは変わりません。 しかし、TAP法で修復した場合は肺動脈弁の逆流が必ずあります。 肺動脈弁逆…
今回のところは重要です。円錐中隔(Conus septum)の前方偏位とともにTOFの核となる部分なので、頑張って理解してください。でははじめていきます。 BT shunt手術が終わり、酸素濃度が安定するとしばらく外来で平和な日々が続きます。 TOFの児の次の目標は1歳…
Spellについて 今回はTOFの有名かつ重要な症状、Spellについて話していきます。 英語でSpell(スペル)って読みます。 日本語では無酸素発作ですけど、誰も無酸素発作って言わないので、共通言語としてSpellで覚えたほうがいいと思います。 図;Spell みなさ…
前回は「TOFの本質は円錐中隔(conus septum)の前方偏位」について説明しました。前回のところはTOFでは最も重要なので、わからなければ、誰かに聞くなり必ず理解するようにしてください! またConus septum(円錐中隔)は現在一般的にはinfundibular septumま…
今回はFallot四徴症について話します。 読み方はファロー四徴症です。よくTOFとかTFとか略されます。 今回は面倒なので、TOFと略します。 先天性心疾患の中で割とよく見られる疾患です。 諸説ありますけど、先天性心疾患の中の1割がTOFです。 もちろんVSDと…
ここ数回に渡ってVSDやASDのお話をしてきました。 主に手術のタイミング等の話をしたので、どちらかと言うとこれから手術を受ける患者さんにとってより役に立つ情報だったかもしれません。 あまり教科書で手術のタイミング云々の話は書いてなかったので、お…