誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

雑記 小児循環器医を目指そうかな、と思った小児科の先生方へ

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このブログ、一応看護師さん向けに作っているつもりですが、かなり内容が難しいものもあったり、医師向けの内容も含まれています。小児科の後期研修医などの方も見てくれているようなので、そんな方に向けて今回は書いていこうと思います。

小児科っていうのは小児科の中でもさらにサブスペシャリティーと言うのがあります。小児救急や新生児、血液腫瘍、神経etc…といろいろあります。大体研修医を2年間した後は一般小児科の後期研修を2-3年してその後サブスペシャリティーに行く方が多いように感じます。僕は学位には全く興味がなかったので、その進路に関しては全くわかりませんが、循環器をサブスペシャリティーにしたい、と考える小児科後期研修医には多少のアドバイスが出来ると考え記事にしようと思います。

 

小児循環器に必要なものとは

小児循環器に必要なものはなんだろう、と考えたのですが、正直あまりないです。小児循環器は覚えることは少ないので、頭の良さはあまり必要ではなく、誰でもできる分野だと思います。あえて必要なものを挙げると下のものになるかと思います。

・小児循環器への興味

・体力

・普通くらいの社交性+普通のハート

・もしかしたら普通くらいの空間把握能力

こんなところかな、と思います。まず小児循環器をやっている人は大体が「趣味」でやっています。心臓が好きで、小児循環器が好きでそれが趣味みたいな感じです。お金にはつながらないですし、体力とか時間も相当必要になります。僕もカテーテルが好きなので、循環器やっています。緊張したり失敗して落ち込んだりしますが、カテが嫌だと思ったこと未だに一度もありません。なので、まず大前提としてカテーテル検査が好き、とか心エコーが楽しいとか、そのような心臓への興味がなければ小児循環器は出来ません。僕は研修医の時に最初に回った大人の循環器、研修医2年目の時に9ヶ月お世話になった小児科(小児循環器の患者がたくさんいました。)の先生達の影響で、小児循環器をやろうと決めました。素晴らしい先生達との出会いのおかげで学生の時にはさっぱりわからなかった循環器が好きになりその道を目指そうという気持ちになりました。正直小児循環器の道は結構しんどかったりしますが、循環器が好きという気持ちがあれば乗り越えていけると思うので、まずは小児循環器への興味が一番大事だと思います。当たり前ですけどね。

次に必要なのは体力です。循環器のトレーニングの期間はかなり病院にいました。帰るのは日付が変わってから、というのがほとんどでした。体育会系の部活出身の僕はそんなもんだ、と思っていたのであまりびっくりしませんでしたが、今やれと言われたら全然できないような生活をしていました。そこまでしないと循環器はできないか、と言われるとそんな事はないと思いますが、いろんな科の中でも結構体力や時間が必要な科だと思います。家族がいる人にはかなり家族の理解が必要だと思いますので、将来不幸にならないためにもしっかり家族と話し合い数年間サポートしてもらう必要があると思います。ちなみに育児+家事の方が循環器よりハードですが・・・。

次に必要なのは普通くらいの社交性とハートの強さです。循環器は自分たちで完結する科ではありません。例えば耳鼻科とかだったら自分たちで診断して手術して最初から最後までできます。しかし、循環器は僕らが診断とかして、カテして、心臓血管外科医に手術をしてもらわないといけません。心臓血管外科とうまく仕事をする必要がありますので、社交性ゼロの人は仕事がしにくいかもしれません(ま、どんな仕事でもそうですが)また循環器や心臓血管外科をする人には気性の激しい人が他と比べたら断然多いです。小児科にはいない激しい人たちが結構います。また結構急変が多かったり、自分の患者さんが亡くなったりすることが多い科なので辛い事も結構多いです。なので、ある程度のハートの強さや鈍感力は必要だと思います。僕は自分のハートが弱いという自覚はありませんでしたが、循環器をやってはじめて自分のハートが弱い事に気付きました。今いる病院は全国の循環器でも屈指のマイルドな循環器科です。心臓血管外科もいい先生が多く手術も積極的かつ上手です。ハートに自信がない人はうちの病院でトレーニングしてもいいかもしれませんね(笑)。

後は空間把握能力ですかね?僕はあまり意識したことありませんが、心臓は立体的なものなので、その構造を理解するのに多少の空間把握能力が必要かもしれません。心臓外科ほどではないし、絶望的に空間把握能力がない人以外は十分問題なくやっていけると思います。でも空間把握能力が高い人の方が向いている科かもしれませんね。

いろいろ書きましたが結局興味があって、心臓が好きかどうかの問題です。ちょっとハードな所もありますが、好きなら大体やっていけます。では、小児科後期研修が終わった後、どこで研修をしたらいいでしょうか?それを少し話していきます。

 

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図:小児循環器に必要なもの

 

小児循環器のトレーニングはどこがおすすめ?

これはなかなか難しい質問です。その昔、みなさんがこどもの頃は小児循環器と言えば、東京女子医大(女子医)か国立循環器病センター(国循)のどちらかで小児循環器のトレーニングを受けるのが主流だったと思いますが、現在はみなさん、いろんなところで研修をしています。医局に入らない人も多く、自由に見学にいって2-3年くらいメジャーな施設で小児循環器を学ぶ人が多いと思います。施設に関しては各地方にあるこども病院や手術をそれなりにしている施設ならば正直どこでもいいかな、と思っています。後は見学に行って気に入ったかどうかで決めたらいいかな、という感じです。症例数の多い施設の方がおすすめだとは思いますが、それなりに有名な所であれば、後は自分次第な気がします

自分の行った施設の事くらいしか話せませんので、あまり参考になることは話せません。僕がトレーニングを行った某Kセンターは症例数がかなり多く、歴史の深い病院なので、成人先天性心疾患もかなりおり、トレーニングのノウハウもしっかりしています。レジデントにはそれぞれ検査の班に所属し、小児循環器の特殊な検査などを担当し、その分野を中心に学会発表などをしたりします。移植などもやっていますし、小児循環器の中でもいろいろ専門分野は分かれるのですが、ここでは小児循環器のすべてが勉強できます。勉強になることは間違いありませんが、結構大変なので、精神的にはきついこと間違いなしです。Kセンターで勉強するともう一つ良いことがあります、それは全国にセンター出身の先生達がたくさんいることです。それも有名人ばかりです。小児循環器はトレーニングを終えた後の身の振り方がとても難しいですが、OBのつてとかが小児循環器のトレーニング後の就職にとても役に立ちます。同期もたくさんいるので(僕の学年は同期が7人もいました)、学会とかでもいろんな知り合いに会えてとても楽しいし、とても励みになります。学会には同期やセンターの先生達に会うのが楽しみで参加しているようなものです。センターは多くの仲間に出会える場所でもあり、センターにいた時には気付きませんでしたが、今では僕にとってそれは大きな財産になっています。まとめると、

・某Kセンター(調べればすぐわかります)

・症例数、成人先天性心疾患はトップ

・小児循環器のあらゆる分野を勉強できる。

・全国にたくさんいるOBや同期の存在は唯一無二。

・でもかなりしんどい。

という感じです。若くてハートが強い人には間違いなくおすすめの施設です。僕もしんどかったですが、行ってよかったな、と心から思っています。

現在僕のいる施設も良いところです。症例数そこそこで、心臓血管外科はしっかりしていて上手だし、心臓血管外科と循環器内科の関係はいいです。数ある小児循環器を扱っている病院の中でもトップクラスにマイルド(おそらく日本で一番)な所だと思います。循環器内科でも、心臓血管外科でも怖い人いません。小児循環器をやろうと思う人の中でよくあるのはうつ病です。精神を病んでしまう人が結構多いのは有名です。でもうちの循環器内科でトレーニングした人の中で精神を病んでしまった人は僕が知る限りいません。卒業していったフェローの先生達も最初はよくわかっていなくてもしっかり育ってますし、某Kセンターの卒業生と比べても全然遜色ない印象なので、「ある程度の症例数さえあれば、結局は自分次第なのではないか」と思います。でも全国にたくさんOBがいたりはしないので、そういう意味ではセンターと比べ物にはなりません。そういうメリットはありませんが、十分に勉強できる施設なので、結構いいかな、と思います。自分のハートに自信がないけど、小児循環器勉強したい、という人はうちの病院を考えていいのではないでしょうか?どうしても詳細が知りたい人はリンクの「お問い合わせ」から連絡してください。

 

まとめ

某Kセンターと現在僕のいる病院の事しか記載していませんが、全国にはその他にたくさん有名な施設はあります。いろんな所に見学に行って、いろんな人の話を聞いて自分にあいそうなところでトレーニングしてください。「症例数が多いにこしたことはない」って事と「結局は自分次第」って事しか言えません。小児循環器を志す仲間が増えるのはありがたいですし、このブログがきっかけで小児循環器に興味を持っていただければ、僕としてはこれほど嬉しいことはありません。なるべく有用な情報をお届けできるように、このブログもダラダラと継続していこうと思いますので、よろしくお願い致します。