誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

high flow(高肺血流)の症状や治療について 基本7

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high flowとは、「肺の血流が増加する事」ですね。

High flowになる疾患にはどんな疾患があるのでしょうか?

正直あまりにたくさんなので、どれ、という話はできません。

ので、その疾患毎に血液がどう流れるか考えて

high flowかどうかを判断していくしかありません。

典型的な例では

VSD(心室中隔欠損症)や房室中隔欠損症、左心低形成症候群、総動脈幹症などなど挙げればキリがありません。肺動脈狭窄がないものすべてと言ってもいいかもしれませんね。

ただし、これを覚えようとするのは、よくありません。

その都度、どういう形の心臓だから、肺血流が増えている、減っている、

と考えていくのが正解だと思います。

 

では、臨床的にはどんな症状があるのでしょうか?

 

High flowの症状で思いつくもの

思いつくものをいくつか列挙してみました!

  • 肺の血液が増えて呼吸がしんどくなり呼吸数が増える

      → 呼吸数が増える、しんどくて飲めない。

      → 体力を消費して体重が増えない。

  • 肺の血液が増える、ということなので

      → レントゲンで肺野が白くなる!

  • 肺の血液が増えると左心房、左心室の血液が増えるので

      → レントゲンで心臓が大きくなる!

  • 肺の血液が増えるということは酸素化される血液が増えるということなので

      → SpO2が上昇する、ガスでpO2 が上昇する!

      → 単心室などであれば、SpO2: 80%、pO2: 35-40で十分だが、high flowではSpO2: 90%とか、pO2: 50以上とかに上昇!

  • 相対的にだが、肺の血液が増えると、全身に回る血液は減るので循環不十分となる

      → Lacが上昇する、おしっこが出なくなるetc…..

 

おそらく他にもいろいろあると思いますが、パッと思いつくだけでもいろいろな指標があります。

呼吸数、体重の増加、レントゲン、心臓の大きさ、血液ガスや尿量などはチェックする価値があると思います。

 

High flowの治療について

High fllowだとわかれば、赤ちゃんはしんどいはずなので

治療してあげる必要があります。

疾患によっては、いろいろやりようがあるかもしれませんが、

内科でできる事は限られます。

  • そもそも流れている全身の血液量を減らす。

 →水分を絞る、利尿剤など

  • 肺の血管抵抗をあげて、肺に流れにくくする。

 →挿管してCO2を貯めたり、N2療法をする。

  • 物理的に流れないようにする→外科的な治療

    →肺動脈絞扼術,  心内修復術(全部穴閉じて正常に戻す)など

簡単にはこれくらいでしょうか?

内科的には軽度のhigh flowならコントロールできますが、

限界があります。

赤ちゃんは生まれたては、生理的肺高血圧のため、そんなにしんどくはないですが、

1日毎にどんどん肺血管抵抗が下がり(肺の血圧が下がる)、肺に血液が流れやすくなりhigh flowを制御できなくなっていきます。

基本的には内科的な治療は、外科的な治療までのつなぎとして使います。

 

外科的には、肺動脈のまわりをテープでくくって、人工的に狭窄を作り出し肺血流を制限してあげる、

肺動脈絞扼術(pulmonary artery banding: PAB)という手術をします。

もしくは心内修復術をして、正常の血行動態と全く同じに治せたら、それでもいいかもしれません。

この肺動脈絞扼術(PAB)も所詮は次までのつなぎの手術なので、また手術が必ず必要になります。

こういうつなぎの手術を姑息術といいます。(覚えなくてもいいです)

 

このあたりはあまり説明しなくても普段から見ていれば

簡単にわかるところかと思い、あまり詳しく書いていません。

High flowはこれくらいにして、

次回は肺血流が減少する疾患について考えていこうかと思います。