小児循環器とは一体何を診ているのか、と言われると、
先天性心疾患が主になります。
心臓の形がおかしかったり、穴が開いていたり、心室が1つしかなかったり…
など色々あります。
それぞれをいちいち覚えるのは無理なので、全体像が見えるように意識して書いています。
新生児の生まれたての時期の重要な考え方がhigh flow、low flowですが、
長期的に見ると単心室か二心室か、というところが重要になると思います。
今回からは長期的な視点に立った、全体像について話をします。
先天性心疾患とは‥‥
先天性心疾患は簡単に言うと下図のように単心室と二心室の2つにわかれます。
細かい疾患は覚えなくていいので、
形が想像できて、どちらに当てはまるかがわかればそれでいいです!
図:先天性心疾患
二心室とは…
右心室から肺動脈に血液を送り、左心室から全身に血液を送る循環を指している。簡単に言うと普通の人と同じ循環の事です。
手術をすると、最終的に普通の人と同じ、右心室から肺動脈、左心室から大動脈というようになる人たちの事を指します。
代表的な疾患で言うと、VSD、ASD、ファロー四徴症(TOF)、TGA等が思い浮かぶかと思います。もちろん他にもいろいろあります。
単心室とは…
それに対して、単心室とは将来的にFontan手術(フォンタン手術)を目指さないといけない人達の事です。具体的に言うと
・もともと心室が1つしかない人。
です。
下図を参考に、どういう循環か考えてみましょう。
・まず使える心室は1つしかないため、全身に血液を送るために大動脈とつなぎます。
・肺にはどう血液を送るかと言うと、上大静脈や下大静脈から本来なら右心室(ポンプ)を経由してポンプの力で左右の肺動脈に血液を流すところを、上大静脈と下大静脈を直接肺動脈とつなげてしまい、ポンプを介さず血圧の差で肺動脈に流すように手術をする循環になります。
図:Fontan手術
こういう手術をFontan手術といいます。
代表的な疾患でいうとHLHS(左心低形成症候群)、三尖弁閉鎖や僧帽弁閉鎖などがあります。
すぐにどちらに当てはまるかわかる疾患は治療方針を決めるのが簡単です。
でも実際はどちらに当てはまるかは、よくわからない事も多いです。
血行動態や心室、弁などを見ないとわからない疾患がたくさんあります。
例えばDORV, Ebstein anormaly, cTGA, TGA, PAIVS, AVSD, などです。。。
他にもありそうですが、
こういう疾患は、その都度考えないといけないです。
ではなぜこんな事を考えないといけないか、と言うと
予後や治療方針が大きく違うからです。