誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

心室中隔欠損症(VSD)や心房中隔欠損症(ASD)の縮小手術(小切開手術)について ~ 疾患5

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ここ数回に渡ってVSDやASDのお話をしてきました。

主に手術のタイミング等の話をしたので、どちらかと言うとこれから手術を受ける患者さんにとってより役に立つ情報だったかもしれません。

あまり教科書で手術のタイミング云々の話は書いてなかったので、お話をさせてもらいました。

 

どんな手術をどのタイミングならできる、という話をしたかと思いますが、実はもう一つオプションがあります。

それが縮小手術です。場所によっては小切開手術と言ったりもします。

 

縮小手術は現在所属している病院ではやっていませんが、以前いた施設では施行しており、術後の創部を見ると「傷が小さい!」というインパクトが強く、患者さんにとってはメリットが大きい手術ではないかな、と思い紹介させていただきます。

 

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図:

 

縮小手術は正中切開でする手術方法ですが、胸骨を下1/3から多くても1/2程度切る傷でVSDなどをやってしまう方法です。

手術創は上の図のように乳頭を結んだ線より下を切開していますので、普通の正中切開と比べてだいぶ傷は小さくなります。胸元が開いたTシャツや水着をきてもあまり傷が目立たないのです。でもこれには条件があります。

    ・骨が柔らかい小児(小学生くらいまで)

         ・30kg未満の体重

が条件となります。

ちょっと違うかもしれないので、詳しくは施行している施設で聞いてもらったほうがいいと思います。

ASDは側開胸手術やカテーテル治療があるため、そこまで恩恵はないかな、と思いますが、VSDは基本的に正中切開なので、大きな恩恵があると思います。

 

とは言え、乳児で行う手術の創部は、大きくなってからする手術の傷と比べてかなり目立たないです。なので、めちゃくちゃこだわる必要はないかとは思いますが、児の状態に余裕があって、こういう手術を選択できる状況にあるのであれば、考えてもいいのではないかと思います。

 

ということで今回は少し脱線しましたが、縮小手術について簡単に紹介させていただきました。検索する時は「小切開手術」「縮小手術」などで調べていただけたらいいかと思います。

ちなみに大人でやっているMICS(低侵襲手術)は小児では見たことありませんので、よくわかりません。知っている人がいればコメントいただけたら嬉しいです。

 

では、次回はちゃんとTOFの話をしていこうと思います。