今回はASDについて話していきます。
ASDはVSDとともに良く見られる疾患です。
話して行くことを下記の2つになります。
・ASDの血行動態
・ASDの治療について
ASDもよくいる疾患なんです。
多くは手術で入院、カテーテル治療で入院してすぐ退院してしまう人がほとんどだと思います。
こういう人はどういう人なのか考えていきましょう。
ASDの血行動態
ASDも実はhigh flowの疾患の一つです。
誤解を恐れず言えば、ASDはどんなに大きな孔が開いていても、しんどくなることはほとんどありません。
下の図を見て考えましょう。
図:ASD
ASDは図のような血行動態になります。ASDも一応肺に血流が増える、high flowの疾患に含まれます。
High flowはしんどい、というイメージがあるでしょうが、ASDは程度の低いhigh flowなのでしんどくなることはほとんどありません。
High flowの程度は
「孔の大きさ」×「圧の差」
です。以前hig flowの項で話してきましたので必要ならそこを見てみてください。
ASDの場合は右心房と左心房の間に開いています。右心房は血圧が5mmHg、左心房は6mmHgです。右心房と左心房の血圧差は6-5=1mmHgであり、本当に大した血圧差ではありません。
そのため、孔の大きさは、どんなに大きくても、ASDは圧の差が大した事はないので、肺にたくさん血液が流れないのです。そのためしんどくなることはないです。
じゃ、しんどくならないのになぜ治療が必要なのでしょうか?
実は小児の時代にしんどくなることはほとんどないのですが、ASDはずっとジワジワと長年、右心房、右心室に負担がかかっていきます。そして長年の負担が蓄積し、おじさん、おばさんくらいになると不整脈が起こる事になります。こうなってしまうと、不整脈の治療は大変ですし、ASDも治療をしないといけなくなります。
なので、できれば、成人になるくらいまでにASDを治療してしまうのが、個人的には良いのではないか、と考えています。
まとめると
・ASDは大きな孔でもしんどくならない。
・なので、成人するまでに治療をおすすめする。
こんな感じになります。
なので、ASDはしんどくはならないけど、将来不整脈が出て困るので、早めに治療してあげよう、というのがASDの実際のところなのではないでしょうか。
補足
少しだけ付け足すと、ASDにはまあまあ例外がいて、high flowによるものでない肺高血圧を合併している人や心筋がおかしい人など、なぜか一筋縄で行かない場合がまあまあ存在しています。肺高血圧を合併している場合はASDが圧の逃げ道になっている場合もあり、ASDを閉じないほうがいい時もあります。
今回ほとんど言及しませんでしたが、VSDと比べるとASDはこういう例外みたいな症例が目立つような印象があります。余裕があれば、頭の隅にでも残しておいてください。
次回はそのASDの治療について説明していきます。
ASDは2005年からカテーテル治療がはじまり、カテーテル治療(カテ治療)が結構なウェイトを占めるようになってきています。どういうタイミングでどういう治療がいいのか、などを含め説明していこうと思います。