誰でもわかる先天性心疾患

先天性心疾患など小児循環器をなるべくわかりやすくお話します。主に看護師さん向けですが、小児循環器を専門としない医師向けの内容も多く含まれています。教科書ではわかりにく内容の理解の助けになればと思い書いています。

不整脈:不整脈の大枠ついて 〜基本29〜

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不整脈ってどんなものがあるか思い浮かびますか?国家試験でも出てるし、舐めんなよって思ったかもしれませんが、ここはスワヒリ語の如く不整脈が苦手な人が来ているはずなので、不整脈の大枠から話していきます。細かい事言うと余計わからなくなりますので、簡単に3つに分けます。なおこの3つの分け方は僕が適当に考えて3つに分けてみただけなので、ちゃんとした分類ではないですが、ま、大体こんな感じでわけてみるとわかりやすいかな、と思い分けてみました。ちなみにわけてみたんですが、「上室性不整脈」と「心室不整脈」って言葉は聞いたことないです。上室性頻拍とか心室頻拍とかとちゃんと区別できるようにだいぶ違う形の言葉を作ってみました。上室性頻拍にしてもよかったのですが、PACとかをまた別分類にしないといけないので、上室性不整脈という、ちょっとありそうななさそうな言葉にしてみました。なので、試験や先輩にこの言葉は使わないようにしてください。後の言葉はすべて普通に使われている言葉なので、全然使ってOKです。「上室性不整脈」「心室不整脈」は今適当に作った言葉ですから、使わないでね

 

徐脈

1つ目は「徐脈」です。脈がゆっくりになることですね。基本的には根本的な治療法は1つだけ、ペースメーカー植え込み術になりますので、割と簡単です。徐脈は洞結節か房室結節に問題がある場合がほとんどなので、後に述べる上室性不整脈に入るかもしれませんが、わかりにくいだろうから、まず別物としてわけて考えましょう。脈がゆっくりになるだけなので、割とわかりやすいですし、治療はペースメーカーしかないので、正直徐脈がよくわからなくて困る人はあまりいないと思います。でもペースメーカーはみんなわからないですよね?ペースメーカーと聞いた途端に蕁麻疹が出る人が大多数だと思います。なので、まずここでは徐脈は適当に流し、ペースメーカーをしっかり理解できるように頑張りましょう

 

上室性不整脈

2つ目は「上室性不整脈です。上室性ってちょっとわかりにくい言葉を使っていますが、要は心室より上流から出る不整脈の事です。心臓の電気の流れを見ると、洞結節⇢右房を通って⇢房室結節⇢His束⇢右脚左脚⇢心室って電気が流れます。この電気の流れの中で心室より上流側で起こった不整脈を上室性不整脈って言ってます。線引がはっきりしているわけではなさそうですが、洞結節から房室結節までが上室性不整脈っていう場合が多いかな、と思います。基本的にはQRS波がnarrow になるのが、上室性不整脈です。例外もたくさんありますが、まずはこう覚えましょう!不整脈のメインはこの上室性の不整脈の中でも、上室性頻脈(PSVT)がメインのところになるかと思います。割とよく遭遇し、対応がわからず結構慌ててしまう人が多い印象です。上室性頻脈に冷静に対応できる事がこの不整脈の項目の大きな目標地点だと思います。上室性頻脈(PSVT)には大きく言って2種類の頻脈があります。ひとつはリエントリー性の頻脈、もう一つは異常自動能です。(トリガードアクティビティもあるんですけど、無視しましょう。) この2つの違いをマスターし、次の心室性の頻脈と見分ける事ができればOKです。ここもなるべくわかりやすく話すようにするので、頑張っていきましょう。

 

心室不整脈

そして3つ目が「心室不整脈です。心室から起こる不整脈の事です。wide QRSとnarrow QRSの話を思い出してももらうとわかるかもしれませんが、心室不整脈wideQRSになりますこれは2つ目の上室性不整脈と違って例外なくwide QRSになります。最もよく見るのはPVC(心室性期外収縮)だと思います。PVCは単発なら無視してもいいかもしれないが、心室性の頻脈は、VTとかVFとかすぐに治療しないといけない、やばいやつが多いです。なので、反射で治療ができるようにならないといけません。また、心室性の不整脈では原因や治療を考慮する上でも右脚ブロックと左脚ブロックの心電図波形が重要になってきますので、そこは必ずマスターしてから不整脈を勉強するようにしましょう!遭遇する事が少ないので、慌ててパニックになってしまう事が多いかもしれませんが、やるべき事がしっかりわかっていれば落ち着けるはずなので、しっかりマスターしておきましょう。

 

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図:不整脈の大枠

という事で次回は1つ目の徐脈について話をしていきましょう。