ずいぶん長い事更新しておらず申し訳ありませんでした。なかなか筆が進まず、長い事更新できませんでした。このブログも思ったより多くの人が見てくれていてありがたいと思っています。頑張って続けていきますね。しかし、今回の記事は果たしてわかりやすいか、わかりません。最近難しい内容の記事が増えてきているので、申し訳ないと思いつつ、できる範囲でわかりやすく書こうと努めています。教科書と同じではあまり意味がないので。。。
今回の記事長いので、面倒な人は一番最後の2つの絵、Qsの計算のイメージのとこだけ理解してください。以前Qp/Qsの記事で同じような事を書きましたが、わかりにくい、という話もあったので、再度わかれば、と思い書いてますので、そこだけ読んでみてください。重要なので、頑張ってみてください。
看護師さんからよく「カテーテル検査について話をしてほしい」、というリクエストをいただきます。確かにカテーテル検査は、やっている人でないとかなりとっつきにくく、何を見たらいいかわからない検査かもしれません。今回からちょっとカテーテル検査について書いていこうかと思います。
カテーテル検査について知る前に
カテーテル検査の話をしたいのですが、カテーテルの話をするには患者さんの疾患の理解、現病歴の把握(なんの手術をしてどういう経過をたどったか・・・)をしないといけません。当たり前の話ですが、これが把握できていなければカテーテルの検査を理解することは難しいです。
例えば、同じFallot四徴症でもBT shuntをしてICRに行く人やBT shuntが要らなかった人、肺動脈弁輪径が大きく弁輪温存できそうな人、弁輪径が小さくTAPをしなといけなさそうな人、左の肺動脈が細めの人、、、など経過は人それぞれです。病歴を把握していないと患者さんのポイントを理解できず、検査で何を見たいのかが理解できなくなってしまいます。なので、まずカテーテル検査を理解しようと思うのであれば最低でも「疾患の理解」「患者の病歴」を把握しておきましょう。例えばTOFのカテをするのに先程羅列した事が理解できないようではカテ以前の問題になってしまいます。カテーテル検査を理解したいならば、まずこれら基本的な事をしっかり抑えるようにしましょう。わからない事はしっかり勉強したりカルテを見た上で医師に聞いてみたりするようにしたらいいと思います。
という事で、カテーテル検査を考える前に
・疾患の病態を把握しておく。
・病歴を把握しておく。
この2つをしっかりしておきましょう。まずカテーテル検査を理解する前の準備としてこれをしておかないとカテーテル検査は理解できないので、しっかり把握しておきましょう。
カテーテル検査の準備
カテーテル検査をどうやってするのかを説明していきます。当たり前ですが、カテーテル検査はカテーテル検査室でします。レントゲンが出る透視の装置があるお部屋でやるので、手術みたいな感じだと思ってもらったらいいと思います。
カテーテル検査は病院によって麻酔の方法が違います。局所麻酔のみや挿管なしの軽い麻酔をかけたり、全身麻酔でやったりと様々です。カテーテル治療は全身麻酔でやるところが多いのではないかと思います。多くのこども病院と言われるところは全部全身麻酔でやっている傾向があり、今後は他の病院でもその傾向が強くなるのではないか、と考えられます。
カテーテル検査ではまず台の上に寝てもらい、鼠径の大腿動静脈からアプローチする事が多いです。その他首の頚静脈からアプローチすることもあります。Glen術後でFontan術前なら肺動脈にアプローチするには首からアプローチするしかないので、頸静脈を突きます。穿刺したら、点滴のちょっと太いようなシースというものを留置し、ここからカテーテルを入れて検査をしていきます。
図:カテーテルの準備
よく使うカテーテルについてはまた述べていきます。とりあえず準備は上記のような感じです。こんな感じでカテーテル検査はスタートしていきます。
ではいよいよカテーテル検査で何がわかるか、ということを話していきます。
カテーテル検査とは・・
カテーテル検査ではわかる事がいろいろあります。検査のポイントは3つになります。「圧と酸素濃度、造影、治療」です。おそらくどの病院でも近年はカテーテル治療の割合が増えていると思いますが、基本は圧と酸素濃度からカテーテルを理解することです。ただし、これが結構複雑な式とかを使ってやるので、難しかったりします。とりあえず、まずとっつきやすい「圧」から考えていく事にしましょう。
圧について
という事で、「圧」について話していきます。
カテーテル検査でしか測定する事ができないのが、心臓の各部位の圧です。カテーテル検査をする大きな意義がこの心臓の各部位の圧を測定する事にあります。まず正常の心臓の各部位の圧をなんとなく把握しておきましょう。下の図を見てみましょう。
図:正常の心臓の圧
まず「圧」を考える上で基本となる考え方を頭にいれておきましょう。まずつながっているところは基本的に同じ圧です。例えば、普通の二心室で考えると、SVCとInnVは合流してRAにつながっています。IVCも下からRAにつながっています。なので、SVC、InnV、RA、IVCは同じ圧です。次に壁があれば違う圧になります。なので、RVとLVは心室中隔でわけられており、RVは20-30mmHgに対してLVは100mmHg近くと大きく違う圧になります。心房中隔で分けられているRAとLAは大きくは違いませんが、RAは5mmHgに対してLAは6mmHgと少しLAの方が圧は高いのが普通です。ということで心臓の中にそんなに壁はありませんが、壁があると違う圧になるということです。ここまでは簡単ですね。最後はちょっと複雑になりますが、弁があるところは同じ圧になったり違う圧なったりと変化することなります。普段は違う圧ですが、大雑把に言うと弁が開いている時には弁の前後は同じ圧になります。LAとLVは拡張期が弁が開いている時期なので、この時はLAとLVの圧は同じになります。同じようにRAとRVも拡張期に弁が開いているので、この時はRAとRVは同じ圧になります。一方、大動脈弁や肺動脈弁は収縮期に弁が開きます。大動脈弁で考えると、大動脈弁は収縮期に弁が開いているので、収縮期のLV圧とAoの圧が基本的に同じになる、というわけです。なので弁があるところは弁が閉じていると違う圧になるのですが、弁が開いているタイミングでは基本、同じ圧になるのです。LVとAoは収縮期が同じ圧になりますので、基本的にLVのpeakの圧とAoのpeakの圧は同じなわけです。RVと肺動脈に関しても同じ事が言えます。RVのpeakの圧と肺動脈のpeakの圧は同じなのです。なので、以前話した肺高血圧の推定の仕方ではPA圧=RV圧と仮定して推測しているのです。(意味不明な人は2019/4/11, 16 小児循環器の心エコーについて(肺高血圧の推測) 〜エコーを当てない人はここだけ見て!その1, 2を参照してください。)そして最後にもう一つ頭にいれてほしいのは、狭窄があれば違う圧になる。(圧較差ができる)ということです。血管が狭窄していれば、前後で圧の差ができますし、弁が狭窄していても同じように圧の差、圧較差ができます。例えば大動脈弁の狭窄があれば、Aoの圧は100mmHgだったとしても、狭い大動脈弁を通すためパワーがいるので、LVの圧は150mmHgになったりします。このように心臓や血管に狭いところがあれば圧の差(圧較差)が生じてしまいます。さっきの肺高血圧の話であれば、普段はRVのpeakの圧と肺動脈のpeakの圧は同じですが、肺動脈弁が狭窄していればRVのpeakの圧と肺動脈のpeakの圧に差が出てきてしまいます。そのため、PA圧=RV圧という推測はできなくなってしまいます。なので、肺高血圧の推測をエコーでする場合は肺動脈弁狭窄がない、という前提が必要なのです。よくわからなければまた心エコーの肺高血圧のところを見てください。
ということで、まとめると基本的には圧は、
・つながっているところは同じ圧。
・壁があれば違う圧。
・弁のところは開いている時は同じ圧、閉じていれば違う圧。
・狭窄があれば、圧較差ができる。
ということになります。圧を見る上でこれがまず基本的な考え方になります。感覚的にもすっとわかるかな、とは思いますが、圧の考え方の基本を抑えた上でカテーテル検査を見ていきましょう。
実際の圧の測り方
実際の圧はカテーテルを大腿静脈(FV)、大腿動脈(FA)、内頸静脈(JV)などから挿入して測定します。一般的な小児のカテはまず大腿静脈からアプローチし、IVC、SVC、InnV、RA、RV、PA(肺動脈)という感じで各部位にカテを突っ込んで圧を測定します。動脈系はFAからアプローチし、LV、aAo(LVから出たところからArchまでの大動脈)、dAo(大動脈のArchを超えた後)と測定していきます。カテ先をいろいろなところに突っ込んでほとんどのところは圧を測定できます。ただし、LAは心房中隔に孔が開いていないと測定できません。そんな時はどうしているかと言うと、肺動脈楔入圧(PCWウェッジとみんなが言っているやつです。大人をしている人には当たり前の指標です。)を測定しています。これは肺動脈の奥の方にカテを突っ込んで、バルーンを膨らませて肺動脈の先の圧を測定するやり方でします。PCWは肺動脈の先、つまり肺静脈の圧をほぼ測定している事になります。肺静脈の圧=LAの圧、とし考えるということになります。ということでPCW=PV=LAって感じで考えてもらったらいいかな、と思います。その他には狭窄がある部位は圧の差がでますので、カテを引き抜きながら圧を測定して圧較差を測定していきます。圧較差がどれくらいあるかを測定し、狭窄の程度や狭窄の心臓への影響を測定していくのです。
酸素濃度について
では次に酸素濃度について考えていきましょう。酸素濃度もカテでは重要な指標になります。カテーテルをいろんな部位まで持っていき、それぞれの酸素濃度がわかるわけです。
まず通常の正常心での酸素濃度の例をあげると下記のようになります。
図:正常心の酸素濃度
SVCやIVCには全身で酸素が使われた血液が戻ってくるので、酸素濃度は低く、60−70%くらいになることが多いです。肺動脈はSVCとIVCが合わさったものがくるので、SVCとIVCの中間くらいの酸素濃度になります。(頭の方が血流が大いので、どっちかと言うとSVCよりになります。)この酸素濃度を混合静脈血(mixed vein:MVと略します。)と呼びます。基本SVCとIVCですが、返ってきた静脈を全部合わせたもの、の事です。MVよく出てくるので覚えておきましょう。話を戻し、SVCとIVCで合わさった血液はRA⇢RVへと流れ、RVから肺動脈、肺動脈から肺にいきます。酸素濃度の低い血液は、肺で酸素をたくさんもらい肺静脈、LA、LV、大動脈はほとんど100%ちかくの酸素濃度になります。これが正常の場合ですが、心奇形などがあり、孔が開いていたり、血管や心房、心室の繋がりがおかしければ、また違う酸素濃度になっていきます。それは疾患毎に考えていくしかありません。簡単に言うと
・SVC、IVC、(MV)、RA、RV、PAは酸素濃度60-70% :静脈血
・PV、LA、LV、Aoは酸素濃度100% :動脈血
・上記の値からズレると孔や血管がある可能性あり。
ということになります。酸素濃度を測定することで、理論的に予想される酸素濃度と値が違う場合に考えていなかった疾患や病態がわかることが多くはありませんが、あります。このため、カテーテル検査では検査をやる前に心臓の形をエコーなどで把握し、「ここがこれくらいの酸素濃度になるはず」と予想してやることが重要になります。
そしてもう一つ酸素濃度からわかる重要事項があります。それは血液の流れる量です。酸素濃度がわかるとそれから計算して血液の流れている量が計算できるのです。代表的なものとしては
・体(全身)に流れる血液量=Qs=CO(心拍出量)
・肺に流れる血液量=Qp
・肺体血流比Qp/Qs
・心係数:CI(COを体表面積で割ったもの)
です。なんかもう嫌になってきますね。もう一度言うと酸素濃度がわかると、血液量(全身に行く血液の量とか肺に行く血液の量)が計算でわかるということ。細かい式は以前の記事(2019/2/21の記事:Qp/Qs(肺体血流比)を計算しよう! 基本6)で説明しています。トラックとりんごの話がわかりにくかった、という話も聞いたことあり、なかなか難しいな、と思いますが。。今回は細かい式はいいとして、イメージでなるべくわかるようにしようと思います。でも同じような話になってしまうかも・・・。とりあえず重要なのはQsの式を理解する事です。これがすべてなので、式の理解に努めましょう。
図:Qsの計算のイメージ
上の図は心臓が元気で心拍出量が高い人(=Qsが高い人)と心臓が弱っていて心拍出量が低い人(=Qsが低い人)の図です。通常肺から返ってきた血液の酸素濃度は100%なので、心臓から出てAoに行く血液の酸素濃度は100%です。なので動脈での酸素濃度も100%であり、その血液を体の隅々まで届けます。人間、生きてるだけで酸素を消費するので、基本カテの検査中で横になっている人は心臓が元気な人も元気じゃない人も同じだけ酸素を消費します。
図のように右の心臓が元気な人も左の心臓が元気じゃない人もカテ中に1分間に100の酸素を消費します。心臓が元気な人は1分間に5L血液を駆出できます。じゃ1Lあたりどれくらい酸素を使ったかと言うと、100÷5=20の酸素を使ったことになります。これを酸素濃度で考えると、最初Aoでは1LあたりHbが1個、1個のHbは100の酸素を持っているので、1Lあたり100の酸素が全身で20使われ、静脈(MV)になると1Lあたり100―20=80になるというわけです。なので、静脈(MV)になると1Lあたりの酸素濃度は80ということになるのです。
今度は心臓が弱っている人を考えます。心臓が弱っている人は1分間に2Lの血液しか出せません。でも1分間に同じように全身で100の酸素を消費します。心臓が弱っている人は1分間に2Lしか血液を出せませんので、1Lあたりどれくらい酸素を使ったかと言うと100÷2=50と計算でき、1Lあたり50の酸素を使った事になります。心臓からAoに出ていく時は1Lあたり100の酸素があるわけですが、全身で1Lあたり50の酸素を使ってしまったため、静脈(MV)になると100-50=50の酸素しかなく、静脈(MV)の酸素濃度は50ということになります。
つまり何が言いたいかと言うと、心臓が元気な心拍出量の多い人は酸素を運ぶ血液量が多く、1Lあたりの酸素を手放す量が少ないため、静脈(MV)の酸素濃度は高くなります。逆に心臓が弱っている心拍出流の少ない人は、酸素を運ぶ血液が少なく、1Lあたり多めに酸素を手放さないといけなくなり静脈(MV)の酸素濃度が低くなります。普通の正常心であれば、心臓から拍出される血液の酸素濃度は100%なので、静脈の酸素濃度を測定するだけで、心拍出量が計算でき、心臓がよく動いていて心拍出量が多いのか、動きが悪く心拍出量が少ないのかがわかるわけです。簡単に言うと、心臓がいい時は静脈血の酸素濃度も高く、悪いときは静脈血の酸素濃度も低いのです。これはICUとかで、静脈血のガスを取る時に有用な情報の一つです。絵を見て、じっくり考えてみると理解できるでしょうか?
上の話が理解できたら、カテで求める心拍出量(CO)=体血流量(Qs)もすぐわかるはずです。心臓が元気な人はQs=5ですが、Qs=(全身で使う酸素)÷(1Lあたりで使った酸素)で求めればいいですね。(1Lあたりで使った酸素)は(Aoの酸素-MVの酸素)と表せるので、Qs=(全身で使う酸素)÷(Aoの酸素-MVの酸素)=100÷(100-80)=100÷20=5と出せるのです。同じように心臓の弱い人で考えると、Qs=100÷(100-50)=100÷50=2となり、心臓の弱い人のCO=Qs=2となるのです。どうでしょうか?これでQsの式は理解できましたか?
全身で使う酸素は酸素消費量(O2 consumption)といい、体格でいくらと決まっています。なので、後はカテで酸素濃度さえわかれば、計算で心拍出量(CO)やQsが出せます。肺動脈の酸素濃度をカテで測定できれば、同じような式でQp=肺血流量も求められます。ただし肺は酸素を消費するのではなく酸素を与えます。全身で使う酸素と同じだけもらわないといけませんので、全身で使う酸素=肺からもらう酸素であり、酸素消費量と同じ値になります。肺静脈をAoに置き換え、肺動脈を静脈(MV)に置き換えれば同じようにQp(肺血流量)も(肺からもらう酸素)÷(肺静脈の酸素-肺動脈の酸素)で出せます。Qp/Qs(肺体血流比)はQpをQsで割ったものなので、肺からもらった酸素÷(肺静脈の酸素-肺動脈の酸素)/ 全身で使う酸素÷(Aoの酸素-MVの酸素)で計算するとQp/Qsが出ます。全身で使う酸素=肺からもらう酸素なので式は(Aoの酸素濃度-MVの酸素濃度) /(肺静脈の酸素濃度-肺動脈の酸素濃度)で出ます。
これ、なかなか理解が難しいかもしれませんが、できれば理解してほしい事項です。一番わかってほしいのはCO=Qsの求め方の理解です。心臓がいい人の心拍出量の5Lの求め方、心臓の悪い人の2Lの求め方です。これが理解できれば、Qpもすぐ出せて、QpをQsで割ればいいので、Ao-MV/PV-PAの酸素濃度の計算だけでQp/Qsがわかるのです。そしてこれが理解できれば、静脈血ガスで酸素濃度を見て、「心拍出量が高いから良さそう」とか、「心拍出量が低く悪いのでは・・」とかが予測できるようになります。式を理解せずに覚えてしまうと、Qp/Qsの式を忘れた時にAo-MVとPV-PAどっちが上だったっけ?となってしまいます。なのでQsの式を理解できるように頑張りましょう!それを理解した上でQpをQsで割ればいいのです。覚える事は最小限にし、考えればわかるようにするのがいいと思います。ということでまとめると(全然まとまりませんが)
・体血流量(Qs)=全身で使う酸素÷(Aoの酸素-MVの酸素)
・静脈血の酸素濃度で心拍出量を推測できる。(酸素濃度が高いといい)
・Qsの式を理解したらQpは同じようなもの。Qp/Qsは式を覚えず、QpをQsで割って計算を。
という感じです。今回の記事で理解してもらえたらいいのですが、QpとかQsの式をわかりやすく話すのはなかなか難しいです。
酸素濃度と圧から出る指標(主に肺血管抵抗:Rp)
上の式が理解できれば、9割OKです。後少しだけ頑張りましょう!酸素濃度から肺血流量や体血流量がわかりますね。これと圧をあわせて出せる重要な指標があります。肺血管抵抗=Rpという指標です。Rpは(肺動脈の平均圧―肺静脈の平均圧=PCW)÷Qp(肺血流量)で出します。肺血管抵抗というのは、肺の血管の硬さ、肺高血圧の潜在値みたいなものです。肺動脈圧が高いと肺血管抵抗が高いのは納得ですね。ただ、VSDみたいにhigh flowで肺高血圧になっている場合は、肺の血圧が高くても肺の血管はそんなに硬くなく、肺の血管抵抗がそこまで高くない場合があります。それはhigh flowなので、Qpが大きい場合です。肺に血液が多く流れれば肺の血圧は上がるけど、それほど肺の血管は硬くなく、血流が減れば肺の血圧も下がる場合は、本来の肺の血管の硬さが知りたいですよね。それが、肺血管抵抗=Rpです。Rpは(肺動脈の平均圧―肺静脈の平均圧=PCW)÷Qp(肺血流量)なので、分母のQpが大きければ、Rpは下がります。なのでhigh flowの時も公平に肺の血管を評価できる指標になります。これは何かと重要な指標になりますし、よく出てきますので、頭に入れておきましょう。
・Rp=(肺動脈の平均圧―肺静脈の平均圧=PCW)÷Qp(肺血流量)
です。このRpは酸素濃度と圧がわかれば出せる指標になり、Fontanの手術適応などを考える時にも重要な指標になるので、頭にいれておきましょう。
ちょっとボリュームが多かったかもしれませんが、まずこれが圧と酸素濃度についてです。
ポイントを箇条書きにしておきますので、参照ください。
・病歴と疾患の理解が重要。
・カテーテルは主に3つ「圧と酸素濃度、造影、治療」
・今回は圧と酸素濃度について説明。
圧については
・つながっているところは同じ圧。
・壁があれば違う圧。
・弁のところは開いている時は同じ圧、閉じていれば違う圧。
・狭窄があれば、圧較差ができる。
酸素濃度については
・各部位の酸素濃度がわかる。
・予想していなかった血管のつながりがわかる。
・Qs(体血流量)やQp(肺血流量)などの、血液の流れる量が計算できる。
・酸素濃度と圧で肺血管抵抗=Rpがわかる。
箇条書きにするとこんな感じですが、箇条書きでもかなりの内容があります。もちろん、これを読んでもカテーテル検査はなかなかわかりにくいかもしれません。いろんな教科書と同じで眠くなる話だったかもしれません。次回では具体的な例を挙げて、カテーテルの検査結果を見ていきましょう!