前回はHLHSの3つの重要なポイントを説明しました。 体心室が右室のため収縮能はイマイチで、血液が流れなかったから左心系が育たず、冠動脈の血流もしょぼい大動脈を逆行して還流するため虚血になりやすい、という話をしました。 3つ話をしましたが、2つ…
HLHSはどういう心臓か? 左心低形成症候群は知っていますか?国試とかでも出てくるような、頻度の割には有名な先天性心疾患です。血行動態はまた説明しますが、とりあえず下の図のような形をしており、左心室が小さくて使い物にならない疾患です。結構予後も…
今回はだいぶ記事も増えてきたので目次を作ろうと思います。ブログという形式を使ったのはあまりパソコンが得意ではないのと、タダで簡単に記事がかける、という思考でブログという媒体を使ってみました。でも本当は目次みたいなところから、読みたい記事を…
Mustard(マスタード)手術とかSenning(セニング)手術って知ってますか?Jatene手術がメジャーになってきたのは1980年代の後半で、それ以前、1980年代前半まではTGAに対してはMustard手術やSenning手術がメインで施行されてきました。いわゆるこども病院な…
術後に注意すべき点について Jatene手術で重要となってくるのが、術後の合併症です。 TGA特有なので、TGAの時は意識するようにしてほしいポイントです。 ① 冠動脈の狭窄・閉塞 ② 肺動脈の狭窄 ③ 大動脈弁の逆流 上記の3つが主なものです。3つも頭に入らな…
今回はTGAで最も重要だと考えられる、冠動脈について少しだけ説明します。今回も若干看護師さんにそこまで求めなくていいような内容な気がしますが、知っていて損はないですし、TGAに対する理解は深まります。 冠動脈のバリエーション〜Shaherの分類やLeiden…
すいません。だいぶ長い間書けていませんでした。とりあえず一通り疾患をやるまでは続けるつもりなので、不定期で申し訳ないですけど、続けていきますね。 前回のおさらいをすると、 TGAは「大動脈と肺動脈が逆にくっついている先天性心疾患」です。 そのた…
だいぶおやすみをしていてすみません。 体調不良により何もできませんでした。 私事で申し訳ありません。 みなさん、顎がコキコキ言っている人がいたら注意してください。 僕は顎関節症で病院をお休みしました。救急でソセゴン(痛み止めの超効くやつです。…
今回はカテーテルによる肺動脈弁置換術について話をしていきます。 これはまだ日本で導入されていません(アメリカでは認可されたので、いずれできるようになると思いますが。) なので、将来的な話という事になりますが、興味ある人は読んでいただけたらと…
前回の心内修復術は理解できたでしょうか。 心内修復術が終わるとしばらくは手術と無縁の生活になります。 TAP法で修復した人も、弁輪温存で修復した人もしばらくは変わりません。 しかし、TAP法で修復した場合は肺動脈弁の逆流が必ずあります。 肺動脈弁逆…
今回のところは重要です。円錐中隔(Conus septum)の前方偏位とともにTOFの核となる部分なので、頑張って理解してください。でははじめていきます。 BT shunt手術が終わり、酸素濃度が安定するとしばらく外来で平和な日々が続きます。 TOFの児の次の目標は1歳…
Spellについて 今回はTOFの有名かつ重要な症状、Spellについて話していきます。 英語でSpell(スペル)って読みます。 日本語では無酸素発作ですけど、誰も無酸素発作って言わないので、共通言語としてSpellで覚えたほうがいいと思います。 図;Spell みなさ…
前回は「TOFの本質は円錐中隔(conus septum)の前方偏位」について説明しました。前回のところはTOFでは最も重要なので、わからなければ、誰かに聞くなり必ず理解するようにしてください! またConus septum(円錐中隔)は現在一般的にはinfundibular septumま…
今回はFallot四徴症について話します。 読み方はファロー四徴症です。よくTOFとかTFとか略されます。 今回は面倒なので、TOFと略します。 先天性心疾患の中で割とよく見られる疾患です。 諸説ありますけど、先天性心疾患の中の1割がTOFです。 もちろんVSDと…
ここ数回に渡ってVSDやASDのお話をしてきました。 主に手術のタイミング等の話をしたので、どちらかと言うとこれから手術を受ける患者さんにとってより役に立つ情報だったかもしれません。 あまり教科書で手術のタイミング云々の話は書いてなかったので、お…
前回はASDの血行動態について話しました。 簡単に言うと、 ASDはどんな大きな孔でも、RAとLAの圧の差がほとんどないため、大したhigh flowにはならず、しんどくなりません。 しかし、長年孔が開いている事によって、RAやRVに負担がかかり、おじさん、おばさ…
今回はASDについて話していきます。 ASDはVSDとともに良く見られる疾患です。 話して行くことを下記の2つになります。 ・ASDの血行動態 ・ASDの治療について ASDもよくいる疾患なんです。 多くは手術で入院、カテーテル治療で入院してすぐ退院してしまう人が…
VSDの経過について 次に経過について説明していきます。 VSDについて前回話ししましたが、 多くの人にはあまりピンと来ない話かもしれません。 前回のところで考えているようなところは、ほとんど外来の時点で外来の先生が悩んだり考えているようなところな…
VSDは最もよく見る疾患の一つだと思います。 右心室と左心室の間に孔が開いている疾患です。 High flowの話で結構でてきたのですが、もう一度おさらいしていきます。 VSD 図 上記のような形をしています。 簡単ですね。 しかし、この疾患、割と奥が深くて細…
エコーについての最低限知っておいてほしい事を4つに絞って話しています。 ・動き ・逆流の程度 ・狭窄の程度 ・肺高血圧の推測 以上の4つです。 今回は、心エコーの4つ目の項目、肺高血圧についてです。 前回は心エコーの動き、逆流、狭窄について話をし…
よく心エコー教えてほしい、みたいな事言われるのですが、 ハッキリ言って自分で当てない限りはわかるようにならないかと思います。 しかし、そう言ってしまったら話ははじまらないですし、看護師さんはエコーをあてることができないでしょう。 ですから、今…
小児循環器の病名はほとんど略語です。 心室中隔欠損症って書いてくれればわかるのに「VSD」って書いてあります。 しかもそれだけでなく、病名にたくさんの略語が羅列されている・・・ もはややる気をなくすための嫌がらせ?としか感じない人も多いのではな…
先天性心疾患を考える上で左心室と右心室の違いは かなり大事です! すごく簡単に言うと 「左心室はパワーが強く、右心室はパワーが弱い」 これだけです。 あまり考えたくない人はこれだけ覚えていただいてもいいくらいです。 もともと右心室は肺動脈に、左…
はじめに断っておきますが、 わかりやすい事が目的ですので、当てはまらない事も多いと思います。 ただ、このような事を小児循環器をやっている人は大体わかっていますが、それを記述している教科書などはあまりないと思います。 なので、参考程度に思っても…
前回も前々回もFontan手術については触れてきているので、 だいぶわかっているとは思いますが、今回はFontan手術について説明します。 心室が1つしかないので、その心室を大動脈とつなぎ、全身に血液を流すために使用します。 肺動脈には上大静脈(SVC)と下…
前回は先天性心疾患は大きくわけて、単心室と二心室があるという話をしました。 今回はその治療についてもう少し話していきます。 まず、下の図を見てください。 単心室と二心室の経過 図:単心室と二心室の治療の流れ 簡単にするとこのような流れになります…
小児循環器とは一体何を診ているのか、と言われると、 先天性心疾患が主になります。 心臓の形がおかしかったり、穴が開いていたり、心室が1つしかなかったり… など色々あります。 それぞれをいちいち覚えるのは無理なので、全体像が見えるように意識して書…
前回はlow flow の治療についてお話しました。 肺動脈狭窄(逃げ道なしの)や肺動脈閉鎖の時は とりあえず、PDAを開けておいて、BT shuntにつなげる、という発想でいいかと思うのですが、それだけではいけないのです。 high flowで話した事を思い出してくださ…
low flowは肺血流が少ない疾患です。 肺血流が少なすぎると、酸素濃度が低下して困ります。 前回は肺血流が少ない疾患は ・肺動脈が狭い+逃げ道がある疾患 ・肺動脈が閉鎖している疾患 このような疾患があるというような話をしました。 今回はこんな疾患の…
Low flowについて話す前に少し知っておかなければいけない事項があります。 それは 「動脈管(patent ductus arteriosus; PDAやDAと略します)」 についてです。 極端な事を言えば、肺につながる血管は 「肺動脈と動脈管の2つだけ」です。 なので、肺血流に…